自然食の会を主催され 半世紀にわたり患者さんと共に歩かれています。
安藤先生は 私の一番尊敬する先生です。
医療の原点を 教えていただきました。
本講座は、第2期 市民の心身健康講座の一環として、平成7年3月5日に水城学園(福岡市)にて 開催されました。
市民の心身健康講座テキスト
42年間にわたる臨床から
食は医のもと・農も医のもと
目次
1.どこに原因があるのか
2.激変した食生活の第一
3.激変した食生活の第二
4.激変した食生活の第三
5.激変した食生活の第四
6.どう対応したらよいか
安藤内科医院院長 安藤 孫衛
いま、私達は物質的に美食飽食、便利で豊かな快適な生活ができ世界一長寿国になった。
このことは喜ばしいことであるが手ばなしで喜べない。何となれば、健康長寿国ではな
くて、病的長寿国だからである。
即ち、自然治癒力、生体防衛力の低下、ガン・成人病・精神病・アレルギー疾患、その
他多種多様な難病、寝たきり老人、痴呆性老人・小児成人病・先天性異常児が増加の一途
をたどっている。
しかし、現代の医療システムだけでは、この傾向を阻止することはできず、医療費も毎
年1兆円になんなんとする額が増えて、昭和40年に1兆円程であったのが、ついに20兆円
を突破してしまい、医療の国家予算も既に崩壊がはじまっている。
このまま進むならば、どうなるだろうか。
国家予算は70兆円程度なのに、10年先の医療費は40兆円に増えるという試算がなされて
いる(日本医師会)。
こうした状況に直面し、これをどう乗り切るか。真剣な早急な対応を追られていると思
う。
いままでは、健康保険制度に守られて、「病気になったら医者にかかればよい。お金がな
ければ福祉の世話になればよい」で通ってきたが、これからはもうそうは行かない。
「自分の健康は自分で守る」という決意で乗り切らねばならぬという時代が到来した
ように思われる。
このような憂うべき進行の一途をたどっている心身の健康悪化に対して、1,どこに原因
があるのか、2,どう対応したらよいかに関して考察し、見解を述べてみたい。
1.どこに原因があるのか
この原因は多種多様あり、これらが複合しているので、これが犯人だとつきとめること
は甚だ難しいと思う。
しかし、@疫学的考察とA生物学的考察(生命の根源である遣伝子の視点などからの考
察)とB万象、天地万物一切を支配し秩序づげている理法からの考察などの3つの考察か
ら推測しよう。そうすると当たらずとも遠からじの原因が把握できて、対応の糸口が得ら
れるのではなかろうかと考える。
さて、この原因と対応に対する考察に先だって万象、天地万物一切を支配し秩序づげて
いる理法に関しての私見を先ず述べてみたい。
こういった理法を追求探究することが、科学の重大テーマの一つであるのみならず、哲
学や倫理学や教育や宗教の重大テーマでもあると思う。
物理現象には物理の法則(理法)化学現象には化学の法則(理法)があり、生物の現象
に生物の法則(理法)たとえば遣伝の法則等があり、哲学や倫理学や宗教には生き方の理
法が説かれている。
大は宇宙の活動現象から小は原子や素粒子の活動現象、さては生物の発生と分化の現象
から、頭脳をはじめとする諸々の内臓の働き、生体防衛機構機能・免疫機構機能等、諸々
の生物現象に到るまでどれ一つとりあげても宇宙意志による働きとしか思われない。
また、万象、天地万物に働く.神秘不可思議の倖大な知恵と力と慈愛と理法の連携の働きに
ただただ驚嘆するほかない。
この理法が守られておれば一切は安定安泰であるが、もしも違反が発生するならば遅か
れ早かれ、破綻につながるであろう。
このように、万象、天地万物一切に理法があるにちがいないから、食生活にも理法があ
るにちがいないと思えるので、食生活の理法とは何かを模素し続けてきた。
真の食生活の理法とは何かは明らかにすることはできないので、ここに挙げるのは私な
りの見解であり仮説にすぎない。
〔1〕最少養分率(生命くさりの理法、栄養素パランスの理法)
〔2)適応処理の理法
〔3〕身土不二の理法
この3つの理法(法則)に関しては後述する。
以下、この食生活の理法と疫学的考察と生物学的考察の3つの視点から原因の追求の糸
口と対応の糸口を見付けてみたい。
わが国民の心身健康悪化の原因は多種多様あり、しかもこれらが複雑にからみ合ってい
るから、その犯人はどれかを科学的に見付け出すことは甚だ難しいが、疫学的の考察から、
主な原因はどれかをある程度見当をつけることができると思う。
疫学とは、何かその意味を平易に解すれば病気の流行を集団的医学現象として、その原
因と結果の基本構造をとらえる学間であるといえる。
更に、誰でも分かり易いように、具体的な例を挙げて、疫学的な考え方を述べる。
この考え方とは、たとえばA地域にDという病気が多いが、B地域には甚だ少ない場合、
その両地域の生活環境を詳細に調査し、両者の大差を見出して、この大差がDという病気
の原因であろうと推測する考え方である。
また、ある特定の年代により以前はDという病気は少なかったが、その特定の年代以後
に激増している場合、その特定の年代前後の生活環境を詳細に調査し、その大差を見出し、
この大差がDという病気の原因であろうと推測する考え方である。
多種多様な原因があるが、疫学的な考察からすると昭和40年頃を境界として最も激変
したものは、食生活であろう。それで、この激変した食生活が主な原因であろうと推測
される。
2.激変した食生活の第一
和食から激変した洋食生活
大昔から続けてきたコメを中心とした穀類・野菜・海藻・魚貝類の和食生活から、経
済高成長のはじまる昭和40年頃から急速に肉・卵・牛乳・乳製品・油脂・砂糖の多い美
食飽食型の洋食生活に激変した。
和食を数千年にわたって食べ続げてきた日本人の内臓の構造や機能は洋食に適応処理
できない。(遣伝子適応処理の理法違反)
それで、摂取した食物はこれを処理する遺伝子由来の消化酵素、代謝酵素、ホルモン、
自律神経系等の連携プレイによっても、うまく処理できないので、やがて多種多様な健
康破綻、疾病につながっていくと思われる。
このような見解は2000年の長い年月続いた世界一健康長寿国フンザ王国の国民がこの
適応処理の理法違反により、わずか40〜50年の短期間で彼等の健康が崩壊してしまった
ことからも推測される。更に世界トッブクラスの健康長寿国のトンガ王国国民や日本一
健康長寿地域の由梨県上の原町ゆずり原地域の人々が何れも、
この理法違反で40〜50年の短期間で彼等の健康が崩壊してしまったことからも推測される。
適応処理の理法の関しては後述。
3.激変した食生活の第二
多種多様な化学物質と重金属類の摂取の食生活
40〜50年前より多種多様な科学的物質や重金属を食物を通して摂取するようになった。
いままで食べたことのないこのような物質に対しては、私達の内臓の構造や機能では
適応処理できないのでこのような物質を長い期間摂取し続けるならばやがて健康破壊に
つながるのではなかろうかと案ぜられる。
4.激変した食生活の第三
各種ビタミン各種ミネラル大幅不足の食生活
1.各種ビタミンと各種ミネラルの大幅不足の農作物摂取の食生活
化学肥料と農薬に偏重した栽培によって生産された農作物は軒なみに各種ビタミン、
各種ミネラルが大幅不足している。このことは日本食品標準成分表を調べれば明らか
である。
2.ビタミン・ミネラル不足の加工食品を過剰摂取の食生活
食品は加工すればする程、各種ビタミン、各種ミネラルは失われる。
日本人は年々加工食品の摂取量が増加の一途をたどっている。
3.料埋の遇程で、根を捨て、皮を捨て、あく抜き、ゆでこぽしを行って多くのビタミン
類ミネラル類を失っている食生活
4.各種ビタミン、各種ミネラルを多種多様含有している野菜野草海藻の摂取量が激滅し
た食生活
5.激変した食生活の第四
理法違反の食生活
○最少養分率違反(バランスの理法違反)の食生活
具体的にくさりを例に挙げて説明する。
多数つながっているくさりの中、どれ一つが細小でも、そのくさり全体の強さは激
滅する。
いま日本人の食生括は脂質と砂糖が極端に突出して多く、各種ビタミン、各種ミネ
ラルが大幅に不足しているから、生命維持に不可欠の生体物質代謝に著しい傷害をも
たらし代謝障害を起こし、生命のくさりの強さは甚だ弱められていると考えられる。
従って、健康低下疾病多発につながって行く。
@身土不二の理法違反の食生活
その土地その季節のものを食べ続けてきた地域の人々は世界一の健康長寿を保っ
ており、この理法に違反すればわずか40〜50年の短期間後、彼等の健康は破綻する
ことは前述した。
野生の動物はこの身土不二の理法守っているので健康で天寿を全うしているが、
人間の飼育によってこの理法が守られなくなると人間同様病気だらけになる。
このことはペット病院大繁盛(ペットの成人病・骨折・義歯等の激増)という現
象で推測できる。
A適応処理の理法違反の食生活
日本民族は数百数千年に互って、コメを中心とする5穀を主食として、野菜類・
海草類・魚貝類・発酵食品(味噌・漬け物・納豆など)を副食とした伝統食を食べ続
けてきた。それでこれらの伝統食に適応し、うまく処埋すべく即ち、伝統食をうま
く消化し、吸収し、代謝し排泄すべく、都合のよい内臓の構造と機能を獲得するに
到ったのである。
更に遣伝子を中軸とする多種多様な酵素ホルモン・自律神経系の協同プレイを獲得する
に到ったのである。
伝統食生活を急変させるならば、こうした生体のメカニズムではうまく適応処埋できな
くなって、健康は破綻へとつながっていく。
だから伝統食生活は決して急に変えられない。
ところが経済高度成長が始まった昭和40年代から、肉類・卵・牛乳・乳製品・脂肪・砂
糖・多食の美食飽食の食生活に急変した。
数百数千年の長い年月肉類・卵・牛乳・乳製品の食生活を統けてきた欧米人と
数百数千年の長い年月、コメ・穀類・野菜・海藻・魚貝類の食生活を続けてきた
日本人との両者の内臓の構造機能は大きく異なっていることを忘れてはなるまい。
これでは、日本人の内臓の構造と機能はうまく適応できず消化・吸収・代謝・解毒・排
泄という一連の処理遇程において障害をひきおこし多種多様な病気につながると思われる。
また、いままで摂取したことのなかった多種多様な化学物質と重金属を摂取するような
食生活に急変した。
このため、痛ましい4つの慢性中毒事件が発生した。このような慢性中毒事件の原因物
質の究明は甚だ難しく特殊の例だけしか究明できない。
4つの中毒事件とは@ヒソによる森永ミルク中毒事件、Aカドミュームによるイタイイ
タイ病事件、B有機水銀による水俣病事件、CPCBによるカネミ油症事件の4つであ
る。
このような物質に対しては内臓は適応して代謝解毒排泄という一連の処理ができず最後
は、慢性中毒という痛ましい事件をひきおこすに到ったことも適応処埋の理法(法則)違
反によって生じたものとも考えられる。
しかし、このような4つの慢性中毒の証明ができるのは極めて牲殊の例の場合で、5万種
或は10万種という化学物質と数10種に及ぶ重金属の使用によって支えられている豊かな
使利で一見快適な現代文明生活においては、慢性中毒が発生したとしても、どれが犯人の
原因物質であるかを証明することは殆ど不可能に近いであろう。
また、厩堆肥を使わず化学肥料農薬に偏りすぎた農業と加工し過ぎの食品の週剰摂取に
よって急激に必須栄養素である各種ビタミンと各種ミネラルが大幅に滅少し、更に脂肪過
多と砂糖過多という食生活に急変した。
これでは、まだ日本人の内臓の構造と機能は、うまく適応できず、消化・吸収・代謝・
排泄という一連の処埋過程において障害をひきおこし、健康破綻につながって行くことを
恐れるものである。
6.どう対応したらよいか
以上述べた見解と考察並びに私の体験と40余年にわたる臨床経験から具体的な目安にな
る食生活の献立を参考までに次に掲げる。
玄米一5(麦や大豆や小豆や粟やきび等交互に1割程加える)
魚貝(小魚・小エビ・貝)−1
大豆一1
野菜一3
海藻類一1日60g以上
発酵食品一適量(味噌、納豆、糖漬等)
野菜類は根も茎も皮も葉も食べ得るものは、丸ごと食べるように、なるべく野菜はアク
抜きやゆでこぼしをしない。
ゆで汁はなるべく捨てないで、味噌汁やその他の料理に使って食べるように。
魚類は頭や尾まで内臓とも丸ごと食べるように。
(但しフグのような内臓に毒を有するものは除外する)
下記4つの条件に適っているならば可
@大便が毎日排泄される。(2回でも3回でも可)
Aバナナ位の太さ、やわらかさの大便が2本位排泄する。
B臭みが少ない、臭みがないならばなお良い。
Cチリ紙不要なら理想的。
上述の42年間の臨床からの食生活考察と実践が、市民の心身健康を回復することになん
らかの参考になり、役立つことができるならば幸甚である。
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