ターニーチェーン

'06.6/17 タニタニ

1.外形図

 タニアジャフィーに続き、同じ原理でデイジーチェーンに代わるターニーチェーンを考えてみましたので紹介します。


デイジーチェーンに比べ
長所は
短所は
 構造的にも強度的にも問題ないと思います(下記の検討参照)が、タニアジャフィーと違って自己ビレーで失敗しますと最悪の事態となりますので、 慎重に検討し実証した上で問題なければ実際に使おうと思っています。

短くする場合は、”B”を上げ”A”を下げます。


微妙な長さ調整が可能なターニーチェーン0

2.構造検討

図−1
 ターニーチェーンの基本構造は、物を吊り上げる際に吊金具の中心に重心がこない場合に行う簡易的なワイヤー長さ調整方法と同じです。 (但し、ワイヤーがいたみやすいのであまり良くない)
 この構造は、よく見ると理科の時間にならった、図−2の滑車原理であることが解るでしょう。
滑車と違う所は、”引き上げ部が無いこと”です。
 もしテープの曲がり点が滑車で摩擦抵抗がないなら、”F”の力により、F22=25<F2=50となるので、”L”が長くなってしまいます。 それでは自己ビレーに利用出来ません。
 しかしながら実際は、動こうとすると曲がり点に摩擦抵抗が発生するために、玄関の柱にぶら下がったりゲレンデでテストしても、ずれてくるようなことはありませんでした。



 次に、テープ曲がり点の摩擦(力バランス)がいくらになれば”L”が長くなって延びてくるか検討してみます。
ターニーチェーン0
 図−3のように、引側力と引れ側力の比を x:1, y:1, z:1,とします。
F22=F2となったときがちょうど伸びるか止まるかの境目です。
 各部の力は以下のようになります。
  F1=F・x/(x+1)
  F2=F/(x+1)
  F4=F1・y/(y+1)=F・x・y/((x+1)・(y+1))
  F22=F4・z=F・x・y・z/((x+1)・(y+1))


 以上より  F22=F2 とすると
  F・x・y・z/((x+1)・(y+1))=F/(x+1)
整理すると
 0=x・y・z−y−1 となります。


  一つの方程式で未知数が3つもあれば答えは出てきませんので、ここで x、y、z の比を全て同じ x とすると、上記の式は
0=x^3−x−1 の三次方程式となります。   これより x を解くと
x=1.32 となります。
  つまり引側力と引れ側力の比が 1.32以上なら チェーンは加重で自動的に延びて来ることはないという事です。


 この値をターニーチェーンで使うダイニーマーで測定したところ、
  ・シンブル    Y=1.9
  ・カラビナ    Z=1.75
でした。又、濡れた場合もほとんど同じ値でした。(10Kgの重りを上昇下降させ張力を測定した。)
F22=F・x・y・z/((x+1)・(y+1))= 0.73・F
F2 =F /(x+1)           = 0.36・F


よって、”伸びないでいようとする力”/”伸びようとする力”
 ”F22/F2”は約2倍となりますので充分安全だと考えられます。

3.強度検討

 テープ材料のダイニーマはカラビナ相当のあるいはそれ以上の強度があるので問題ないと思います。
注意点として前記しましたが、テープ材料のダイニーマは伸びが少ないのでたるませた状態で落ちてはいけません。 何故ならショックを吸収しにくいためわずかな距離の墜落でも大きな力が発生するからです。
 詳細は。”続・生と死の分岐点/ピットシューベルト”の94〜97ページと99ページのコラムを参照ください。
このことはターニーチェーンに限らず、シュリンゲで自己ビレーを取った場合も同様ですので気をつけて下さい。
 (デージーチェーンは、縫い目が弱いので、ショックを吸収するかも??)




注記: 
 カラビナ等山道具の強度表示は、破壊するときの最低強度を示していると思います。一方機械現場で使用する吊り金具等の強度は、使用荷重で表します。 使用荷重とは破壊するときの最低強度を安全率でわったもので、安全率は吊り具で6となっています。
 たとえば同様にカラビナの安全率を6とし、使用荷重で表すなら400Kg程度になります。使用頻度も違うでしょうが、それだけ山登りはリスクが高いとも言えると思います。

| ”ボロロ〜ン谷やん”に戻る |