ゲートオープンとザイルの位置ずれが同時に発生した場合、たとえば以下のような仮定をし、 強度検討してみました。

右図のように、ヌンチャクが墜落によって"W"方向に回転しゲートが岩の突起部にあたり
急停止した。この慣性力と"Z"方向に引かれる力,その他の原因により、下側カラビナに
かかるザイルの位置が右側に移動し"X"寸法が大きくなったものと仮定します。
資料−1のカラビナ強度を参照ください。(θは最悪を考慮しゼロ度として計算します)
ケース−1がUIAA規格試験時と同等な場合で"X"寸法(ザイル径φ9で測定しました)
が最少の場合を示します。この時、ゲートオープン強度の700Kgfで引っ張ったものと
しますと、カラビナの最大応力位置"B"部に発生する引っ張りと曲げの合計応力
(強度を判定する指標)は、8564Kgf/cm^2となります。
よって応力はこの値まで耐える(この値で破壊する)ものとします。(少し疑問ですが・・)
次に"X"寸法が上記の仮定の様に大きくなった時、ゲートオープン強度"F2"が何処まで
下がるか計算してみたのが、
ケース−2で"X"寸法が15mmの時"F2"は463Kgf、
ケース−3で同20mm時354Kgfとなりました。
(このときの応力は8564Kgf/cm^2です)
つまりザイルの位置ズレとゲートオープンが同時に作用した場合、かなり小さな力でもカラビナが破損するものと考えます。
この場合、ゲートの慣性を低くしたワイヤーゲートカラビナも役に立ちませんね。
ゲートオープンで破損するカラビナの部位は主軸(ゲートの反対側)下部の曲がり部付近が多いようです。ザイルの位置ズレが
おこると、ザイルの引っ張りによる応力に主軸を折り曲げようとするテコの作用による応力である曲げ応力がプラスされ働くため、
大きな応力が発生します。
資料−1の曲げ応力と引っ張り応力の比をご覧ください。通常の場合で7.5倍、通常より5.5mmズレタだけで11.8倍、
同10.5mmズレで15.8倍にも なります。いかに "X"寸法が重要かが理解できるでしょう。
このズレは前記のゲートが岩角に当たる以外に、ヌンチャクのカラビナ位置ズレ防止用にゴムのアダプターをつけたものでも
主軸側にズレルこと(完全固定ではなく中途半端なため裏目に作用する事がある)があります。資料−1の図−1の様になりますので注意が必要だと思います。

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