遍路装束
その昔、旅はとても危険な行為でした。いつ山賊や猛獣に襲われるか知れないし、自然災害に遭っても レスキュー隊は来てくれないし、まともに病気を治せる医者もいません。そんなわけで、お遍路さんはどこで 行き倒れてもいいように、死に装束として白衣(びゃくえ)をまとっていたのだと言われています (白衣着用が“常識”になったのは近代以降らしいですが)。時は流れ、限りなく安全な旅が可能になった現在でも、お遍路さんが白装束をまとう理由は何かといえば、 真っ白な心で臨むとか、社会的なしがらみを白紙に戻すとか、非日常の世界に飛び込むとか、 それなりに意味合いはあるのでしょうが、誤解を恐れずに言い切ってしまえば、あれはファッションです。 普段、あんな恰好をした人が町を歩いていたら明らかに浮きますが、お四国という空間では、あれがカッコイイのです。 とは言え、上から下まで完璧に揃えるとタダのコスプレですし、お遍路グッズ業者の思うつぼにハマるのも癪です。 ですから、自転車遍路に本当に必要な物は何なのか、考えてみましょう。
| グッズ | 必要性 | 個人的見解 |
|---|---|---|
| 金剛杖(こんごうじょう) | × | 歩き遍路の必須アイテムだが、自転車じゃ持てない。 |
| 菅笠(すげがさ) | × | 風で飛ぶ。視界が狭くなって危ない。 |
| 白衣(びゃくえ) | △ | これを町中で堂々と着ていられるようになったら、もう立派なお遍路さん。 |
| 輪袈裟(わげさ) | × | 団体のバス遍路の人はしているが、過酷な旅にはジャマ。 |
| 数珠(じゅず) | × | 熱心な信者以外は使っていない。 |
| 頭陀袋(ずだぶくろ) | × | 同行二人と書いてあるやつ。ヒップバッグの方がいい。 |
| 持鈴(もちすず) | × | ちゃんとしまわないと移動中うるさい。 |
| 手甲(てっこう) | × | 汗でべたべたになる。うっとうしい。 |
| 脚絆(きゃはん) | × | すそがヒラヒラしたズボンで自転車の旅はしない。 |
こだわりを捨てるというのが遍路の精神ですので、本来は何を着て回ってもいいわけです。
でも、一目でお遍路さんと分かる恰好をしていれば、声をかけてもらえる機会が格段に増えますし、 ときには地元の方からお接待を受けることもあるでしょう。そして、一番分かりやすい目印は白衣です。 袖が有るタイプと無いタイプがあり、夏場は袖無しの方がいいでしょう(少し安いですし)。
実際は、お遍路グッズを一切身につけずに旅をする人も多いようです。
基本スタイル
タオル・帽子
帽子は化繊でキャップ型のものを。ハットは風に飛ばされやすいのでイマイチ。日差しの強いときはサングラスも必需品。眼が焼けると結構つらいです。
背後に太陽がある場合は、キャップのつばで後頭部を覆うようにしましょう。 この部分が熱せられると体温が下がりにくくなり、熱中症の危険があります。
タオルは日除けはもちろんですが、 丸めて額に巻いて汗が垂れるのを防ぐというのがむしろ重要な役目です。
急な上り坂を登るときなどは、タオルを額に巻いた上にキャップをかぶるといい具合です。
※帽子にせよタオルにせよ、気を付けないと額に変な日焼けの跡がつきますのでご注意を。
Tシャツ
昔は速乾シャツというと、 オーロンシャツなど登山用の高級品しかなかったものですが、 いまや\1000ほどで買えるようになりました。 化繊100%のものは吸汗性と肌触りが悪いので、綿化混紡のものがオススメです。ハーフパンツ
これも混紡のものがいいですね。 シャカシャカいうやつは耳障りなのでやめたほうがいいです。 昼間は短く、夜は長く、という調節をしたいので、チャックで切り離し、長さを変えられるものが便利です。腕時計
言うまでもありませんが、防水機能付きで 樹脂製ベルトのものを。遍路旅では、札所の受付時間(7:00〜17:00) が非常に重要なので、腕時計は必需品です。 ただし、日中もずっと腕にしていると日焼けの跡がつくので、そこはベルト通しにとめるとか、 自転車のハンドルにつけるとか、適当に工夫してください。サンダル
どんな高級なトレッキングシューズよりもサンダルが優れている理由は以下の通り。
以前の旅で、素足で同じ靴を3週間履きつづけたところ、
靴は得も言われぬ悪臭を放ち、
どんなに洗っても再起不能(廃棄処分)。足自体も納豆のあの臭いそのままで、こすってもこすっても
皮がボロボロこぼれ落ちるばかりで臭いはなかなか消えず、結局皮膚がすっかり入れ替わるまで、一ヶ月ほど
は素敵な香りのままでした。もはや公害です。
長旅の一番の大敵は臭いです。特に雨の日は危険でして、どしゃ降りならまだしも、
降ったりやんだりの中を半日走るともうアウト。教室の隅に落ちているぞうきんの臭いがします。
たとえゴアテックス素材の靴を履いたとしても、ペダルを漕いでいるとどうしても水は入ります。
それなら、サンダルで何も気にせず濡れまくった方がよほどメンドクサクなく、気分爽快です。サンダルを選ぶ際に注意すべきはかかとの有無です。 お遍路さんでは歩く機会も多いので、かかとがあると非常に快適です。あとは水に強い素材で、 ソールにクッションが入っていて、なおかつ軽い ものをお選び下さい。
ボトル
水分補給は命に関わることなので、容器選びも結構重要。
・飲みたいときに瞬時に飲め(それも走りながら片手で)、
・頭からかぶったり傷口を洗ったりでき、
・落としても割れず、
・軽く、
・残量が確認できる。
そんな容器が理想的です。スポーツ用品店に行くと専用のポリボトルを売っていますが、
あれはどうも、臭いがつくのでよろしくない。結局、一番いいのはペットボトルでして、
それに別売りの飲み口(大きなスーパーなんかで売ってます)をつけるといい具合です。僕は
以前コンビニなどで普通に売っていたアクエリアスの空き容器(左写真)をそのまま使っています。
口で開け閉めできる優れものです。
・頭からかぶったり傷口を洗ったりでき、
・落としても割れず、
・軽く、
・残量が確認できる。
