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関連図書紹介

もの研究にとって興味をひく本を紹介するページです。また、関連図書情報をお寄せいただけると幸いです。紹介者名がないものは、webサイト管理人(佐藤)によるものです。

なお、以前に紹介した本は、別ページにて保存しています。
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■ 『岩波講座・都市の再生を考える1 都市とは何か

植田和弘, 神野直彦, 西村幸夫, 間宮陽介(編)
岩波書店, 2005. 3
ISBN: 4000109731

岩波講座「都市の再生を考える」の第1巻。そのものずばり、「都市を原理的に考察することをテーマとしている」巻(p. 2)。都市の「誕生」から「死」、そしてその先にある「再生」まで、その命脈全体を射程に入れた論考が並んでいます。そのため、特徴としていずれの論考にも、何がしかの形で「都市」というすぐれて空間的事象の中に「変化」「歴史」といった時間軸が見え隠れしています。

  • 「はじめに」(間宮陽介)
  • 「都市の思想――「非」都市からみた都市」(間宮陽介)
  • 「都市のかたち――その起源、変容、転成、保全」(布野修司)
  • 「場所と空間 先行形態論」(中谷礼仁)
  • 「都市の死 文化の場所」(吉見俊哉)
  • 「都市空間の再編と公共性――分断/隔離に抗して」(齋藤純一)
  • 「都市を生かし続ける力」(岡部明子)
  • 「逆都市化時代の東京圏」(大西隆)
  • 「都市の変容――工業社会から情報化社会へ」(吉田純)

■ 中沢新一, 『アースダイバー

講談社, 2005. 5
ISBN: 4062128519

数千年前の縄文時代の「土地の無意識的記憶」を、現代の東京という「都市の表層」とを「共時的」に論じてしまう、とんでもない東京論の登場です。著者の中沢氏は、縄文的な土地の無意識的記憶(=意識の下層であると同時に、土地の下層であるという、二重の下層)と、現代の土地という意識的記憶(=意識の表層であると同時に、土地の表層であるという二重の表層)という垂直軸を、時間軸を無視し、「アースダイブ」を自身が呼ぶ方法によって直結させます。そこから、現代の東京のありようを、古代の無意識と関係付けて論じていくのです。

一歩間違えれば「トンデモ」都市論とも映るかもしれませんが、著者の強靭な思考がその奇異さを十分に埋めている、そう評して許されるでしょう。東京を、文字通り「より深く」理解するための1冊。

■ 小菅隼人(編), 『身体医文化論III 腐敗と再生

慶應義塾大学出版会, 2004. 11
ISBN: 476641120x

身体医文化論研究会という、非常にユニークな研究会の第3論集(第1論集は『感覚と欲望』(2002)、第2論集は『運動+(反)成長』(2003))。生物、特に人体に起こる腐敗と再生という現象をめぐって、様々な角度から、20弱もの論文が収められています。それらを大別すると、一つは「腐敗と再生」にまつわる歴史的-文化的構想力の研究(=文学研究や美術研究など)、もう一つは、現代科学における腐敗・再生現象の総論的研究に分けられましょうか。そのように身体と観念がグロテスクなまでに交錯しあう領域を研究するのが、「身体医文化論」だとも位置付けられるようです。

さて、第2部に「腐敗――恐怖・忍耐・誘惑」という見事なタイトルがつけられていますが、まさに、私たちは腐敗(ならびにそれに続いておこる再生)という現象に対して、両義的な態度を取りがちです。一方において、徹底的に嫌悪し忌避しつつ、他方においてそれなのに、というかそれだからこそ、一抹の悪趣味といかがわしさを伴いつつ、その現象にそそられる。その両義性。もちろん、この両義性が、「腐敗/再生」という(ひいては「死/生」という)、現象それ自体がもつ両義性にオーヴァーラップするのは言うまでもありません。

ただ、惜しむらくは、腐敗と再生にまつわる文化研究が、テクスト的アプローチに偏っており(これは文化研究一般に言えることですが)、私たちの第1関心「もの」からのアプローチが薄いということ。まぁ、確かに腐敗と再生という現象を刻む「もの」は、歴史的資料としてはなかなか残りにくいものであるだけに、無いものねだりかもしれませんが。

  • 第1部 腐敗――浄化-再生
  • 第2部 腐敗――恐怖・忍耐・誘惑
  • 第3部 腐敗と再生――17世紀から20世紀
  • 第4部 再生――現代
  • 第5部 再生――科学的展開

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