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見直そう!あなたの会社の退職金制度(平成19年2月22日講演)配布レジメ

社会保険労務士 林 圭一

 

はじめに

退職金は法律で支払いが義務付けられているわけではありません。ただし就業規則はもちろん、慣行で支給されている場合ですら、会社には支払義務が発生します。

そして一度定めた規定は、従業員の同意を得ない限り、合理的な理由無く一方的に減額したり、支払い時期を遅らせる事もできません。

会社にとって、少なくとも今日までの退職金全額は労働者の既得権として確定した債務となっています。

まずは今日現在の退職金総額を計算してみてください。

これから退職金債務は増大していきます。

その退職金制度で今後20年、本当に大丈夫ですか?

 

 

第1章 退職金制度の現状

 

退職金制度の有無および形態                     (単位%)

区分

退職金制度

有り

 

退職一時金

のみ

退職一時金と

退職年金の併用

退職年金

のみ

無記入

10〜49人

77.0

75.5

20.2

3.9

0.4

50〜99人

90.4

65.8

31.1

2.8

0.3

100人〜299人

92.9

40.4

50.9

7.0

1・8

 

退職一時金の支払準備形態

区分

社内準備のみ

社内準備と社外準備の併用

社外準備のみ

無記入

40.4

39.5

18.9

1・1

 

退職一時金の算出方法

区分

算定基礎額×支給率

勤務年数に応じた一定額

算定基礎額×一定率

+一定額

その他

無記入

60.1

20.4

7.0

9.6

2.9

(算定基礎額:「退職時の基本給」(40.5%)・「退職時の基本給×一定率」(31.0%)

 

 

退職一時金の支給金額および支給月数(退職一時金のみの企業 会社都合)

学歴

勤務

年数

年齢

支給金額(千円以下切捨て)

上昇率

支給月数

平成18年

平成16年

平成18年

平成16年

10

28

116万円

123万円

△ 6.2

5.0

5.4

20

38

358万円

386万円

△ 7.3

11.6

12.5

30

48

679万円

738万円

△ 8.0

17.8

18・9

35

53

858万円

920万円

△ 6.7

20・7

21.9

37

55

916万円

,018万円

△10.0

21.7

23.5

定年

,048万円

,188万円

△11.8

24.8

27.2

10

32

154万円

164万円

△ 6.4

5.5

5.6

20

42

445万円

492万円

△ 9.6

12.0

12.7

25

47

654万円

714万円

△ 8.4

15.7

16.6

30

52

869万円

953万円

△ 8.8

19.2

20.5

33

55

993万円

,139万円

△12.9

20.9

23.4

定年

,145万円

,342万円

△14.7

24.1

27.3

 

退職年金の支払準備形態

区分

適格年金制度

厚生年金基金制度

適格年金制度と

厚生年金基金制度

の併用

その他(自社年金・

確定拠出年金等)

無記入

平成18年

平成16年

平成18年

平成16年

平成18年

平成16年

平成18年

平成16年

平成18年

平成16年

47.7

48・0

19.9

22.7

16.0

21.3

10.6

2.6

5.7

5.4

前回調査(平成16年)と比較すると他制度への移行が義務付けられている「適格年金制度」よりも「厚生年金基金制度」の減少が目立っている。

 

適格退職年金制度移行後の形態

区分

中退共等の退職金共済制度

確定拠出年金

確定給付年金

自社の退職一時金制度

年金制度の廃止

その他

50.0

21.4

13.1

2.4

2.4

10.7

 

 

 

(出所:東京都産業労働局 平成18年「中小企業の賃金・退職金事情」)

 

2章 なぜ今? 退職金制度の見直し

T.年功型退職金制度の問題点

1.2007年問題による退職金支払いの増大

2.適格退職年金の積み立て不足・廃止

3.ダブル年功による債務の増加、賃金制度の硬直化

 

U.退職金制度の意味の変化

1.賃金後払い→日本の賃金水準は十分高くなっている

2.功労報償→功労が少ない人にも一律に支給されている

3.生活保障→定年年齢の延長により60歳以後も賃金として支払いがある

4.労働者自身の60歳以後の働き方への希望の変化(正社員でいたいのは約3割)

 

V.退職金に貢献度を反映させる事の重要性

1.限りある原資を適正に振り分ける

2.退職金制度を「仕事に対する動機付け」要因にする

 

X.不利益変更のタイミング

  1.不利益変更には「合理的な理由」が必要

大曲市農協事件(最三小判昭63.2.16)

あらまし

昭和48年、7つの農協が合併された。原告Xら3名は合併前から引き続いて勤務してきた職員である。合併に際して労働条件の格差是正が図られ、Xらの給与や賞与、定年などの労働条件が引き上げられた。しかし新たな退職金規定による退職金の支給倍率は不利益を軽減するための措置が図られていたとはいえ旧退職金規定よりも低かったため、Xらは旧退職金規定に基づく金額と実際に受領した金額との差額を求めて提訴した。


 判決の内容

労働者側敗訴

就業規則の作成や変更によって、労働者側に不利益な労働条件を一方的に課すことは許されないが、変更された内容が「合理的」なものである場合には、これに同意しない労働者にも適用される。(高度の必要性)

 

 

2.定年延長による労働条件の引き上げと退職金水準のバランス

 

 

判例
Q.1 会社の承諾無く退職した者には退職金を支給しない→有効or無効

Q.2 円満退職者以外には退職金を支払わない→有効or無効

Q.3 退職後同業他社に就職した場合は退職金半額を返還させる規定→有効or無効

 
あなたの会社に合った退職金制度は?

 

内容

長所

短所

賃金連動型

退職時の賃金×勤務年数対応支給率

ある程度金額の予想できる。

在職中の功績が反映しづらく、退職金まで年功序列になる。

別テーブル型

(定額方式)

勤続年数に対応して金額が決定する。

簡単で分かりやすい。

会社に対する貢献度が反映されない

ポイント制

「ポイント累計」×「ポイント単価」

等級等にポイントを設定する。

入社から退社までの貢献度を反映できる。

ポイント管理が必要。メンテナンスが煩雑。

適格退職年金

外部積立により退職時、退職金規定に基づいて支払われる

税制の優遇措置がある。

利率が下がり掛け金が増大。平成24年4月をもって廃止。

中小企業退職金

共済制度

従業員ごとに設定した掛け金を積み立てる。納付月数に応じた退職金が支払われる。

従業員別に掛け金増減させる事により、貢献度を反映させる事ができる。将来の退職金支払い債務を負わない。

退職金額が確定しない。退職理由による減額ができない。掛け金の没収、元本割れのリスクがある。中小企業のみが対象となっている。

確定拠出年金

一定のルールに基づいて確定した掛け金を拠出し、それを社員の意思で運用する。

会社の運用リスクが回避できる。

自分の判断で投資先を選択でき、積極的な資産運用を行うことができる。

 

社員が運用リスクを負う。60歳まで引出しができないため、中途退職者の退職金の置き換えにはならない。社員の投資教育が必要になる。

確定給付年金

外部積立により退職時、退職金規定に基づいて支払われる

適格年金等の受け皿として想定されているため、移管後の変化が少ない

企業の財政上の責任が重い。

前払い型退職金

賃金または賞与で退職金積み立て相当を払う。

将来の債務を負わない。今の賃金が高くなり、優秀な人材を確保しやすくなる。

所得税や社会保険料の負担が増える。

満足要因としての効果が薄い。

中退共に加入できる企業

業種

常用従業員数・資本金

一般業種(製造・建設業等)

300人以下または3億円以下

卸売業

100人以下または1億円以下

サービス業

100人以下または5千万円以下

小売業

50人以下または5千万円以下

 

 

第4章 退職金制度の移行・運用のポイント

 

T.移行に伴う従業員への説明

1.十分な期間・社内説明会

2.どのように同意をとるか

 

U.既得権の保証

1.制度移行時までの既得権額の計算

 

V.退職金規定の変更

1.ポイントとなる規定を明確に記載し、届け出をする

 

W.中退共への移行

 

第5章 社長の退職金

1.適正報酬の再計算

2.保険商品の活用と注意点

3.その他の共済制度の活用

 
第6章 これからの退職金制度

T.退職金は必要か?

1.これからの退職金の役割、見える制度、動機付け

2.退職所得控除の活用

 

勤務年数

控除額

20年以下

40万円×勤続年数

(80万円未満の場合は80万円)

20年超

800万円

+70万円×(勤続年数−20年)

課税対象額:(退職金額−控除額)×2分の1

 

3.制度の組み合わせによるリスクの回避