モンゴルのゲル
 
 モンゴルの遊牧民が暮らす移動式の住居を「ゲル」といいます。木とフェルトできており、分解
と組み立てが簡単に行えます。草原で暮らす遊牧民にとっては、ゲルは最適な住居なのです。
ゲルは約3000年も前から今の型式になって、欠かすことにできない重要な需要となってきま
した。ゲルは必ず南側をむいて扉がつけられます。扉は昔フェルトで作っていましたが、今は
木で作っています。中央にはストーブがあり、ドアから一番奥の北側が主人の位置で、入って
右側は女性や子供の場所で台所にあたります。左側が男性やお客様の場所で馬具などがお
かれています。
歴史的に見ると、ゲルを立てるのに一般的に床を使っててなかくて土の上に直接立てる習慣
がありました。その習慣は、家畜の子をゲルの中に入れることに関係します。春、生まれたば
かりの家畜の子が寒さで死んでしまう恐れがあったので守るためにこんな風に立てるよぷにな
りました。今はだいたいの遊牧民が別の乳製品を作る小さいゲルを作ってその中で家畜のこ
子の世話もするようになりました。

ゲルの組み立て
ゲルを組み立てるには二〜三人で約一時間、分解にも同様の時間を要す。荷ほどきしたら、
ハンと呼ばれる析りたたみ式の壁を取り出し、一つずつ円を描くようにして広げて紐で繋ぎ合
わせていく。ゲルの大きさはこのハンの枚数で決まる。格子状になったハンの交叉部分には、
ウデールと呼ばれるラクダの皮を硬くした止め具を使っている。

ハンを繋いで建てる場所が決定したら、その中心にトーノという天窓を置き、更に扉から入れ
ることのできないベッドやタンスなどの大きな家財道具も予め入れておく。そして南の方角が入
口となるよう壁にを繋ぎ合わせ扉を取り
付ける。一般的なゲルは五枚のハンからなり、室内の直径は約八メートルになる。

扉を取り付けて壁が出来たら、一人がバガンという二本の柱で天窓を持ち上げ、オニと呼ばれ
る屋根棒を天窓の穴に差し、ゲルの四隅から壁に取り付けていく。この時、天窓の四隅からも
壁に紐を結んでおく。
屋根棒の末端にあるザガラダガと呼ぶ輪っかをハンの上端にかけて屋根と壁の骨組を完成さ
せていく。この状態
でもゲルはぐらついたりしないのである。
扉の枠に固定された二本の紐が、壁の骨組みを圧迫するようにして張りを出させる。この時、
天窓から壁に結んで
あった紐で屋根の傾きなどを修正しておく。内で天窓を支えていた人は扉から出て外を手伝
う。

 ゲルの骨組が完成したら室内の内側に来る布を被せていく。その布の外側からイスギィと呼
ばれるフェルトを被せていくのだが、布を必要としなければ直接フェルトを被せていくこともあ
る。天窓から手で引っ張って屋根や壁にかけた布は、屋根に被さるようにしてハンに結んでい
く。そしてフェルトを被せて保温に工夫するのである。壁にかける
トーラグと呼ばれるフェルトにも紐で結んでいく。ゲルには紐をよく用い、服のように重ねて保温
につとめるのである。

フェルトを被せ終えたらゲルを一つに包むガドールブレースと呼ばれる布を被せ、三本の紐で
壁の外側を固定する。天窓にはウルフと呼ばれる布をおおい、半分折り返して明かりを入れ
る。また生活が始まればストーブを設置して、天窓から煙突を出す。
中央にストーブが置かれ、その手前に家畜の糞の入った燃料箱が置かれる。家具や食料、馬
具などは壁に沿って置かれていく。ゲルの東側は女性の場で、調理の火加減を調整しやすい
ように煙突は反対側にきている。

 
図の説明

1.トーノ:円形の天窓を作る木材の器具

2.オニ:柳の枝でできている屋根を作る芯
  88本が基準。

3.ハン:柳の枝で作った木組みで壁の芯に
  なる。これにトーラグ(フェルト)を貼りる。
折りたためて便利.

4.ハーラガ:木材の扉

5.バガナ:屋根を支える柱。これにぶつかると
ゲルが倒れてしまうので、絶対に触れてはいけ
ない。

6.シャラ:木材の床

7、8.ガドールブレース:ハンを覆うフェルト。紐
で固定。今は防水処理をした白い布でくるみ、
木製の扉をつける。

9.ウルフ:天窓を覆う布。雨が降ったときなど
は覆う。

10.ブスルール:ゲルを縛る紐
(半分完成図、右半分骨格図)

11.完成したゲルの図。



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