越境の映画監督

日夏英太郎【許泳 ドクトル・フユン Dr.Huyung】

        ☆  京都慕情


     
「日夏英太郎・花子の足跡を尋ねて 」 2.ー府立植物園ー

                                 2011年6月11日更新


 

    
   府立植物園・イチョウの萌えるような黄葉

私は、かつて松竹下加茂撮影所があった近くの鴨川の岸辺に佇み、父のことを想うと、この撮影所でせっせと脚本を書き、助監督として仕事にいそしんでいた25才から30才頃の若き日々の父の姿が蘇ってくる様でした。

 私は春の訪れを知った時のような、心のときめきを感じました。


それにしても鴨川の景観は素晴らしかった!

 


 
 北に目をやると、北山連峰が遥かになだらかに聳え、これから私が向う府立植物園の美しい緑の森がすぐ近くに見えました。

鴨川の水面には白い都鳥が何羽も浮かんでいました。

 のどかで、あまりにも美しかった!

 いつまでも、ここに佇んでいたい衝動にかられながらも、私は次の両親の想い出の場所でもある府立植物園に向うことにしました。

 

 車は鴨川沿いを北に向い、進行方向右手にある下鴨半木町の府立植物園に78分の道のりで、ち
ょうど昼時の
1150分ごろに到着。

 植物園の正門は北大路通りにあるバス停「植物園前」からは徒歩5分、地下鉄「北大路駅」からは        10分・「北山駅」から北の北山門入口は目の前ということでした。

 

日夏英太郎と花子が新婚時代(1936年秋〜38年春ごろ)を過した自宅は「植物園前」にありましたから、北大路通りの手前の下鴨上川町あたりだったかも知れません。


当時の2人を偲ぶには「植物園の柳の下」と英太郎が自らの写真の横に記してもいますので

植物園を散策するのがうってつけの様に私には思えたのです。

 
 植物園は広い、とにかく広大で綺麗でした。

 秋の日に萌えるように木々が色付いていました。

   MKタクシーのTさんには1220分に正門に戻ることを約束しましたので、私の持ち時間はわずかです。

  正門入ってすぐの花壇は色とりどりの花が顔を見せ、とても綺麗でした。

植物園のほぼ中央にある大芝生地からは、大文字山と比叡山が望めました。

こうして英太郎と花子も植物園を訪れ、たおやかな叡山や大文字を眺めたことがあったのかも知れません。

あるいは、英太郎は、映画の脚本の構想を練っていたのかも知れません。


芝生地では愛好者が丹精こめて育てた菊の展覧会が催されていました。

  とても、のどかで平和でした。

両親が京都で暮らしていた1930年代後半は、すでに日中戦争が始まり、太平洋戦争への足音が忍
び寄っていました。


私は、ともかくも平和な現在の日本を有難いと思いました。
 

 

しかし、日本のアジア侵略が原因となり勃発した米国や英国などの連合国対日本の太平洋戦争の狭間の中で英太郎・花子が人生で最も輝いていた時代を、ほんろうされ、戦後も重荷を背負って生きなければならなかったことを考えると、私は悲しい気持になりました。

 今日は涙は禁物の日。

父母の嬉しい足跡をたどる日なのだから・・と、私は己に言い聞かせました。

 

 
   
   植物園の正門花壇、北に北山連峰を望む

 
 ここ府立植物園も太平洋戦争中は園内に菜園が作られ、食料増産に寄与し終戦後は、連合軍に接収されて米軍家族の住宅が立ち並んだとのことでした。


 このとき多くの樹木が伐採され、植物園にとっては苦しい時代だったそうです。



 
     
   観覧温室・屋根は金閣寺鳳凰と北山を
   イメージ 

目の前に金閣寺の鳳凰と北山の山並みをイメージした美しい観覧温室の屋根が広がっていました。

植物園の正門から進み左手にある観覧温室内は、むっとするような暑さでしたが、熱帯の色鮮やかな植物が生き生きした姿を見せていました。


南国のみどり濃い木々をスケッチしている
外国女性の姿もありました。


 

 

  京都府立植物園は、1924年(大正13)に開園。

総面積約
240000u、植物約12000種類、年間入園者約700000人とのことでした。

1957
年に米国から返還されて1961年(昭和36)に再スタートしたそうです。

残念ながら私は、父の写っていた柳の木は見つけることが出来ませんでした。

終戦後、米軍家族の住宅を建てる時に伐採されたのかもしれません。

園内は、花しょうぶ園・洋風庭園・バラ園、ながらぎの森や池、そして梅林や針葉樹林などの素敵な見どころがいっぱいの様です。

 

 

そろそろTさんが植物園の正門へ

迎えにくる時間になっていました。

私はこうして英太郎・花子の呼吸をした場所をたどることが、両親との対話になっているのだと感じました。

ドライバーのTさんが門前で手をふっていました。


    URL  http://www.pref.kyoto.jp/plant/
 

 

 

   明るい観覧温室・熱帯植物ものびのび!!


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