越境の映画監督

日夏英太郎【許泳 ドクトル・フユン Dr.Huyung】

                                            2011年6月4日更新


                               日本時代の原作・脚本

                                                       1931年〜1941                                                                               

1937年の暮れ・鳥取県三朝温泉で脚本執筆の折り
左・日夏英太郎 (29才)

 


日夏英太郎 原作・脚本集
作品名                      
                                        
製作年 製作 原作・脚本 執筆年令  出演
1.処女爪占師 1931.02.13 マキノ御室  脚本 23才 頼謙二郎・三保松子

2. 紅蝙蝠 

1931.03.13 マキノ御室 脚本 23才 沢村国太郎・松浦築枝
3.雲霞の兇敵 1933.10.22 松竹下加茂 脚本 25才 高田浩吉・花岡菊子
4.辻斬ざんげ 1934.11.15 松竹下加茂 脚本 26才 高田浩吉・高尾光子 
5. 佐渡おけさ 1939.05.01 新興京都 脚本・原作 30才 大友柳太郎・高山広子
6.姫君大納言 1939.09.14 新興京都 脚本・原作 30才 高山広子・森光子
7 花嫁十三夜 1940.04.11 新興京都 脚本・原作 30才  大友柳太郎・杉浦妙子
8.安来節お秀 1940.05.23 新興京都 脚本・原作 31才 市川男女之助・森光子
9. 千両役者 1940.09.08 新興京都 脚本・原作 31才 市川男女之助・尾上松緑
10. 君と僕  1941.11.15 朝鮮軍報道部 脚本 33才  文芸峰・永田絃次郎・
小杉勇・三宅邦子

☆マキノ大行進曲  1931.02.06  マキノ御室   編集    23才  坂東妻三郎・市川右太衛門 ・嵐長三郎・片岡千恵蔵    
 
 *マキノ大行進曲』は山本九一郎と日夏英太郎が、マキノ映画のスター達の立ち回りのカットバックを作って、再編集したものです。非常に観客が入ったと云われています。
  「紅蝙蝠」は他に松竹下加茂・日活太秦撮影所でも製作されました。

  「処女爪占師」「紅蝙蝠」「雲霞の兇敵」「辻斬ざんげ」は無声映画です。
 1934年位までが無声映画の時代で以後トーキー映画に切り替わっていきました。
 無声映画は弁士が解説をして、映画館には専属の楽士たちもいて、音楽を担っていました。    
  No5〜No9は原作・脚本ともに日夏英太郎が執筆。
   「
君と僕」は、舞台が京城(現在の韓国・ソウル)になっています。
  脚本は飯島正との共同執筆です。


雲霞の兇敵     松竹映画雑誌「下加茂」1933年(昭和8)11号
            シナリオ抜粋(場面 十の一部)

              高田好吉・主演  二川文太郎・監督作品 
              日夏英・脚本  水門 王吉・原作

 鬼洞の表、遠く腰高障子が見える
★画面に出て来た二人
★佐久馬「行け行け
    T、行けッ
      拙者があとに控えて居る!」
★茂十「はいゝ」と云い乍ら、もぢゝ、
★佐久馬「行け」とその尻を突く。
★茂十、突かれて腰高へ飛び込む。
★佐久馬、内の様子に聞耳立てゝ草履を脱いで手に持つ(危なかったら逃げる腹)
★障子 インポ−ズ
     T、馬鹿者、おとゝい来い」
 
 と、案の定家の中から転び出た茂十
 すはッ!と逃げんとした佐久馬の足を掴んで「旦那お助け!」
★佐久馬もう逃げられない。
   「馬鹿離せッゝ」と引離そうとする。
★茂十、何思ったか急に真顔になり、起上って「旦那!」
★佐久馬、え?
★茂十、さつきの真似して、吾と吾が身に
     T、恐れるなッ

★佐久馬、?
★茂十、つゞけて
   T、男は度胸だ

★「うむ、そうぢゃ」 と佐久馬
  茂十、安心して「見ておくんなせえ」と胸を叩いて、堂々と入って行く。
  佐久馬、半ば感心して見送る。
 
 ―鬼洞の家の中
★堂々と入って来た茂十
★子分一同 ? ? ?
★茂十、堂々と手を差出して
   T、昨年俺れから巻上げた三十両を返せッ

★何ッ―と洞五郎
    T、手前気でも違ったのか

★茂十、ニヤゝ笑って
   T、こわくねえだ
   T、俺ら一度死んでるんだ

 ★え? と一同不気味を感ずる
 ★茂十、つゞけて「それに

   T、強いお侍様がついてるだぞ

 ★え?  と一同
 ★茂十「見ろ」と指す
 
  ―表
 ★佐久馬着物を肩裄から落すまいと、両肩を怒らせて内部の様子如何にと目を光らせている。
  (逃げるための用意だが、第三者には凄い勇気に見える素振り)
  ―家の中
 ★子分の三吉、利助が「親分あれだ」と
  ―街道で
 ★大勢の雲助を相手に、智恵を屁って逃げろと云い乍ら見得を切っている佐久馬
    T、あのお侍さまだ!
         T、雲助睨み殺した侍ですよ

 ★ところしか見ていないので、三吉、利助はすっかり佐久馬に一目おいている。親分に、
  「何しろうるさい奴ですから」と耳打の態
 ★他の子分既に話を聞いてたらしく
     T、十八人やっつけたってのあの人か

 ★洞五郎、少し気を呑まれる。
 


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