ユーザー車検失敗談

    ユーザー車検はやらなきゃ、そん?



  平成17年3月、千葉県習志野陸運局にてユーザー車検を受けた。そのときの体験談を紹介しよう。最初はディーラーで車検をやってもらおうと思っていたので、見積もりを取ったり、ガソリンスタンドが送ってきた案内書を持って費用を問合せていた。しかし、平成16年に大手自動車メーカー系列のディーラーが車検飛ばしをしている報道があったこと、長年日本車に乗ってきて、故障らしい故障を経験したことがないこと、新車から3年目の車検であるから問題ないだろうと思ったことから、ユーザー車検を決断した。決断したのは車検が切れる日の3週間前であった。この記録は、ゼロから2週間で車検を受けたおじさんの、ヒヤヒヤした体験談である。これからユーザー車検を体験しようという人には、ヒヤヒヤした体験のほうが役立つと思いあえて発表した。

  ユーザー車検を決断して最初にやったことは、ネットで体験談などを読むことであった。そこからメモしたチェックポイントは、1、陸運局に事前に自分で車検を受ける日を予約する。予約に当たり注意すべき点がネットに出ているので、それをメモしておく。2、必要書類はバインダーにはさんで持ち歩くこと、これはほんとに重宝した。3、タイヤのホイールキャップをはずしておく(はずしてない車の方が多かったので、本当に必要かどうか不明)。4、諸費用の支払いと書類の事前チェックを受けるため、さらに車検の現場を見学するため、数日前に車検場に行く。5、あとは現場で検査官に初心者である旨伝えれば、親切に指導してくれるだろうと思って、よけいな心配をしない。ということであった。しかし、どんなに事前に体験談を読んでも、現場では想定外のことが起こるのが人生である。

  まず予約の日をいつにするかである。もし車検が通らなかったときのために、車検の切れる1週間前の午前に予約を入れ、勤め先に休暇を届けた。次に、予約した日の2日前が、仕事が、午後からの遅番であるから、朝一番に陸運局へ行き、諸費用の支払いと書類の作成を行うこととした。

  さて、ここからが実際の体験談である。予約日の2日前の8時半に家を出た。陸運局までは15分で行けると思っていたのだが、通勤渋滞があり35分かかってしまった。まず、ユーザー車検という看板がかかった窓口があったので、そこへゆくと、隣の建物で書類を買い、手続を済ませてから来てくださいといわれた。そこで隣の建物で書類を買い、諸費用を支払い、リサイクル料も払った。元の建物に戻り、書類に記入し、ユーザー車検の看板のところへ提出した。ここで最初のチェックが入った。定期点検記録簿がなかったのである。しかし、メンテナンスノートを持っていたので、係りの人から、自分でやるなり店に頼むなりして記入してきてくださいといわれたので、記入方法を聞いたうえで、後で自分でやることにした。
  陸運局ではユーザー車検のやりかたをパネルで解説したり、ビデオで説明していると聞いていたが、習志野にはそんなものは、全くなかったので、少し不安になった。ビデオを見ておけば違っていたと思う。

  車検日当日は、8時10分に家を出た。着いたのは8時45分。営業開始時間であるから、グッドタイミングと思ったのだが、これが後で災いした。早起きは三文の得、なんてことわざは死語になってしまったのか。

  まず、ユーザー車検の窓口へ行った。係員が誰もいない。すでに8時45分はとっくに過ぎているのに。何人か並び始めたので、気の毒に思ったのか、管理職らしい人がやってきて、処理してくれた。係員はゆっくりやってくると思ったほうが良さそうだ。
  2番か3番に並んでくださいとだけいわれた。たぶん検査場の前に番号がついているので、その番号だろうと思い、車に乗って3番に並んだ。下見をしておいたことが役立った。私は、前から4番目の車であった。前のほうにいる人たちは、つなぎを着ている人が多かったのと集まって話しているのでプロの人たちであろう。

  そのうちに若い検査官がやってきて、ボンネットの中や外観を見ながら、ライト類の指示を次々と出してきた。言われるままにやっているとすぐに終了した。すると突然、車から降りて、運転席を一番後ろまで引いてくれと言われた。これは予想外のことであった。なんだろうと思って、座席を後ろに引くと、そこに車台番号の蓋があったのである。それをはずすように指示された。ところがこれがはずれない。こんなことはネットで見かけなかった。車台番号のチェックがあるとの情報は得ていたが、こんなところにあるとは思わなかった。しかも、寒さでプラスチックが硬くなっていたのか、全く動かない。調査不足であった。マイナスドライバーがあればすぐに開きそうであるが、そんなものは用意していない。いくらやっても蓋がはずれないので、検査官にやってくれと頼んだが、自分ではずすことになっているので、手伝えないとの冷たい言葉。やむをえず渾身の力で引っ張ったところ、蓋がはずれた。その後一日、親指の腹が痛かった。

  前3台の車がすいすいと検査を通過してゆくので、私の順番はすぐに来た。排気ガスの検査をするらしい。検査官に教えてもらおうと思って周囲を見回したが、誰もいない。先ほどの若い検査官は、ずっと後方の車のチェックをしているらしく、姿が見えない。たいへんなことになってしまった。予想がはずれた。車検場には検査官がたくさんいて、教えてもらいながらやれると思っていた。頭が真っ白になってしまった。あとで考えてみると、これもどうやらさっきの書類の検査窓口と同じらしい。係官は検査開始時間になっても、すぐにはやってこないのである。早朝から来る人はプロの人だと思っているのであろうか。ゆっくり登場するらしい。とにかく4番めの私の車が検査ラインに入ったのに、頼れる人は誰もいないのである。真っ白になってしまった頭で隣を見ると、2番のラインの人が排気ガスの中に棒を突っ込んでいた。そこで私も、同じものを排気管に突っ込んだ。まもなく前面に二つオーケーの字が浮かんだ。そしてそのまま次のローラーの方へと進んだ。悲劇はこの後起こった。

  車検場の周囲にはテスター屋さんがあるという。ネットには良く紹介されている。私のような全くの初心者はテスターで練習をしておいたほうがいいかもしれない。いつ何どき、運悪く、車検場で、周囲に誰も検査官がいないという状況に出くわすかわからない。習志野市役所の職員は8時半になると、全員、持ち場についている。公務員は時間には正確という前提は、ここでは当てはまらなかった。
  初めてアイススケート場で靴を履き、氷に乗ったときのことを思い出してほしい。足元が怖くて、誰もがへっぴり腰になることでしょう。このときの私はまさにその状態でした。初めて四輪をローラーに乗せると、まず恐怖感が先立ちます。周囲に検査官が誰もいないので、頭は真っ白ですから、自分で何をやっているのか全くわからない状態です。無意識のうちにサイドブレーキを引いていたのです。前方の表示は、40キロまで加速と出ている。私はサイドを引いたまま、アクセルをぐっと踏みました。とたんにドスンドスンという異音が場内に響きました。前のほうで、すでに検査を終了したつなぎ服の3〜4人がいっせいに私の方を見ました。それでも検査官は誰一人やってきません。前方の表示は40キロまで加速と出たままです。私は、再度加速しました。再びドスンドスンという異音が響きました。つなぎ服の人たちは私の方を見たままです。2度も異音が出たことで、私も車の加速をやめました。しばらくするとさっきの若い検査官が飛んできました。検査官は私にサイドブレーキを下ろさせ、加速テスト終了後ライトをつけさせました。それから検査終了のチェックを受ける方法を教えてくれました。

  車台の下部をチェックしてもらう検査を終えて、私の車は検査場の外へ出ました。やっと終わったと、胸をなでおろしました。しかし、まだ終わっていなかったのです。書類をもって、最初のユーザー車検の看板のある窓口に行きました。すると、検査場の出口のところに、チェックをする人がいるのでそこへ行くように指示されました。なるほど、そこにはつなぎ服の人が並んでいました。私は、再検査を指示されました。最初の排気ガスの検査はオーケーが2つ出ていたのですが、検査終了のチェックを受けていなかったのです。また、3番の一番後ろに並ぶことになってしまいました。

  しばらくして私の順番が来ました。再度排気ガス検査のラインに車を入れました。するとどうでしょう、2番ラインの横にある控え室のようなところに、今度は2人の検査官が立っていました。私はそこへ行って排気ガス検査だけの再検査を受けるように言われたので、やり方を教えてほしいといいました。さっそく一人の検査官がやってきて親切に教えてくれました。やれやれ、最初からそこに居てくれれば、何の問題もなかったのにと思いつつも、これでやっと終わったという安堵感にひたりはじめました。

  その瞬間、検査官が、あっこれはだめだ、と叫びました。またか。今度は一体何なんだ。
私の車の助手席は、たまたまヘッドレストをはずしてあったのですが、これがないと検査は通過しないとのことでした。やむなく、後部座席のヘッドレストを助手席につけました。

  人生何があるかわかりません。すいすい行く人生より、がたがた曲がった人生ほど面白いのです。8時50分頃から、検査場に並び、それほど混んでいないのに、最後に新しい車検証をもらったときは10時を過ぎていました。頼りになる人がいるとおもったのに、いない時の恐怖を味わった1時間でした。ユーザー車検は、自分の車についての、今まで気づかなかった知見を広めてくれます。是非みなさんも挑戦して下さい。


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