| 反貧困フェスタ2009 分科会報告 |
| 分科会1(教室1) |
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女性のハケンを考える |
| 「女性のハケンを考える」分科会では、働く女性の全国センターの伊藤みどりさん、全日建書記長の小谷野毅さんらをパネリストに、事務派遣で働く女性たちの話を聞き、派遣という働き方について考えた。 この分科会の背景には、派遣という働き方を労働者自身が望んでいるとする1万人を対象とした人材派遣協会の調査について、「製造業の男性は違う」という1月の小谷野さんの発言があった。司会者が疑問を投げかけると、小谷野さんは、「女性たちが望んでいる」と言ったのではなく、どのような業種であれ労働は直接雇用であるべきで、日雇いや登録型派遣は禁止すべきであると述べた。 事務派遣で働く女性たちの体験は深刻だ。派遣なのに、管理職業務を担わされ会議にも出ている人。独立行政法人の研究所へ派遣されているが、ダンピングが進み1365円から1100円に時給が下がった人。40代で派遣登録してすぐに派遣先が決まったが行ってみたら、パワハラがすさまじくて若い女性では持たないような職場だったなど体験が語られた。 派遣法については、派遣で多く働く女性を抜きには考えられない。「問題だと感じた男性労働組合のリーダーの発言を放置せず共に考えようとしたのはよかった」という声が聞かれた。 また佐藤昌子さんはパナソニックのショウルームで18年間派遣として接客業務に携わってきた。「昼間は接客、夜は事務で夜10時まで働いてきた。獲得客が東北1位で表彰されたこともある。でも昨年10月派遣切りされた」と話す。雇用契約書は「事務用機器操作」。1999年まで接客業務は派遣禁止業務だったためだ。また3年を越える派遣労働者には直接雇用を申し出る義務があるがそれもなかった。 生活保護相談で、夫が派遣切りに遭い、妻に言えずにサラ金で金を借りて給料として渡してパチンコをしていたが、請求書が届いて妻に問い詰められて暴力をふるってしまい、離婚に至ったという女性の相談を受けた、という参加者からの発言があった。男性が大黒柱として働くべきという役割分業意識が悲劇をもたらしている、と考えさせられた。(赤石千衣子) |
| 分科会2(教室2) |
| ~住まいのセーフティネットをつくろう~ 安心して生活できる住まいとは? (企画:住まいの貧困に取り組むネットワーク) |
| 住まいの貧困に取り組むネットワークでは、2階の教室2にて「住まいのセーフティネットをつくろう 安心できる住まいとは?」という分科会を行いました。教室内では英国人画家ジェフ・リードさんによる日本とイギリスの野宿者の肖像画と、ジェフさんに影響を受け野宿生活をしながら絵を制作していた坂本久治さん(故人)の絵が展示され、なごやかな雰囲気の中行われました。 まず最初に、09年2月11日に団体で取り組んだ足立区にある花畑団地への現地ツアーを記録したビデオが上映されました。それに続き、団地居住者の方から「団地を壊さないで修繕し、若い人にも入ってもらって、団地が元気になるようにしてほしい」というアピールをいただきました。さらに、住まい連の坂庭さんから公共住宅の現状について「イタリアやフランスといった諸外国と比較しても公共住宅が圧倒的に少ない。日本は住宅後進国である。」という報告があり、続いて都の都市整備局職員の方は都営住宅の現状と課題について「都営住宅への昨年の応募は平均して30倍以上に上る。増やす余地はあるにも関わらず、石原都政が10年間にわたって都営住宅を新築していないのはおかしい。」と都政への疑問を投げかけました。簡単な質疑応答を経て、もやいの稲葉さんからはハウジングプアは今に始まった問題ではなく以前から住まいの貧困に苦しむ人たちはたくさんおり、社会的差別によって可視化されてこなかった。ジェフ・リードさんの絵を見ると一口にホームレスといっても一人一人の人生があるという当たり前のことが分かるという紹介がありました。来日していたジェフさんも発言され、自分は絵を描くことでホームレスのことを知りたいと思った。絵を見た方が絵を通して彼らのことを理解し、差別や偏見を変えていくきっかけになってほしい。坂本さんは来日して初めてモデルになった方で恋しく思っていると坂本さんとの思い出や、イギリスの野宿者の現状について話されました。 校庭に設置される予定だった最低居住水準(国が定めた保障すべき居住の基準)を再現した模型が強風のため、1階の廊下に移動するというハプニングがあったものの、模型を見た参加者からは、ずいぶんと広い、自分の部屋は全然満たしていないという驚きの声が聞かれました。企画の最後には参加者それぞれが「わたしたちが望む住まいとは?」を言葉や絵で色とりどりの紙に描き、模型に貼り付けるというパフォーマンスを行い、「居場所があるから生きられる!みんなに住居を!」「つながりのある住まい」「いつでも帰れていつまでも居られる安らぎの空間」といったくつろぎや安心を求め、人と人とのつながりへの要求が多く見られました。大勢の参加者が来場して下さり、企画を通じて住まいの貧困当事者のつながりが重要だと認識されたイベントでした。(藤本龍介) |
| 分科会3(教室4) |
| 日本社会の「壁」を崩す 対談 湯浅誠(反貧困ネットワーク事務局長)×中島岳志(『週刊金曜日』編集委員) (企画:週刊金曜日) |
| 司会 北村肇(『週刊金曜日』編集長) 教室4では、湯浅誠さん(反貧困ネットワーク事務局長)と中島岳志さん(『週刊金曜日』編集委員)による対談「日本社会の『壁』を崩す」が行なわれました。タイトルには、「保守リベラル」を自任する中島岳志さんが指摘する左派と右派の「壁」、今回のフェスタのテーマの一つでもある「労労対立」の「壁」、あるいは、「年越し派遣村」村長の湯浅さんが「岩盤」と呼ぶ、生活保護受給者に注がれる偏見・差別の「壁」-こうした日本社会の「壁」を少しでも崩したいとの願いをこめています。対談では、中島さんが「年越し派遣村」の大きな成果を称える一方、「小泉以降、議論が成り立たない社会状況になっている。世論があまりにも感情で動いている。そんな中で、反貧困が既得権益批判にいくと、『だから構造改革が必要』という新自由主義的な方向にとりこまれて、たとえば連合バッシング、『労労対立』といったものにつながりかねない」と警鐘を鳴らすと、湯浅さんも「社会に“溜め”がなくなっている。自分自身に“溜め”がなく、追い詰められているとき、批判の矛先が、背景の大きな構造ではなく、直接の上司だったり、公務員だったりというように身近な人に向かい、一番簡単な自己責任論に解決を求めがち」として、これを克服する方法は、「個人ではなかなか難しい。労働組合など組織的、運動論的に乗り越えていくしかないのではないか」と語りました。会場質疑では、子どもたちの中にさえ、日々「岩盤」「壁」が形成されているとの懸念が指摘され、教育であれ、家庭であれ、それぞれの持ち場で少しでも「壁」を崩していく努力をしていくしかないこと、あるいは、貧困問題の解決に向けて、政党にマニフェストを要求していって欲しいといった意見が出されました。狭い教室に100人近い人が詰めかけ、立ちっぱなしで大勢の人が聴き入るなど、会場は熱気にあふれ、また、ボランティアの方々の協力もあって、円滑にすすめることができました。(山村清二・週刊金曜日) |
| 分科会4(教室5) |
| ―いま“はたらく”が危ない―貧困を生み出す労働とは?!― 働くこと《労働》を学ぶ (企画:綿貫公平・中学校教諭/全国進路指導研究会) |
| 今年のフェスタのテーマが「はたらくが危ない」ということを知り、即座に手を上げました。2年前、それまでの学習経過を中心に『働くことを学ぶ』(明石書店)という書籍を編集発行していたこと。その後も首都圏青年ユニオンや反貧困ネットの方々の力をお借りして、学校《教室》と社会《労働/職場》を結びつけることを、研究活動の柱にしてきた全国進路指導研究会として、フェスタ成功へ!微力ながらも恩返ししたいと考えたからです。 「働くこと《労働》を学ぶ」という看板を掲げた教室は、準備した100部の資料が無くなってしまうほどの参加者で埋まりました。学校の中から、発言した菅間正道氏(自由の森学園教諭)は、総合学習「生きさせろ」を通して「人間が人間らしく生きていける社会をどうやったらつくれるのか」。教室を飛び出し、当事者やあきらめないで立ち上がっている人との出会いから学び合っていることを報告しました。千葉の角谷信一氏(県立高校教諭)は、高校生のアルバイト実態調査をもとに、労働基準法が守られていない実態を明らかにし、「権利として認識されていないので、要求すらされていない」「知りたい」問題を生徒とともに学習し、具体的に「時給アップ」を勝ち取る事例などから、教室ですすめる労働者の権利学習の重要性を報告しました。 非正規の若者を中心とした首都圏青年ユニオンの山田真吾氏(書記次長)からも、「残業代未払い」「有休認めず」「保険の未加入」加えて「突然の首切り」と、違法がまかり通る現実は「目隠しをされながら生きている」ようなものと知らせ、若者たち自身が立ち上がっている経過と成果を報告しました。最後に、長く都立定時制高校で、働く高校生と関わってきた後藤眞生氏(首都圏青年ユニオンを支える会/共同代表)は、学校教育の中で「働くルール」と「労働者の権利」が教えられるべきこと。卒業生の追跡調査の重要性を指摘しました。 学校教育関係者の参加が少なかったことに、また次の機会を設定する必要性と責任を感じています。(綿貫公平) |