【ドラキュラ伯爵】
 
 怪奇映画の名門、英国ハマー・フィルムは、1957年の「フランケンシュタインの逆襲」のヒットを受け、次はドラキュラをカラーで復活させた。
ヘルシング博士にはピーター・カッシング、ドラキュラ伯爵にはクリストファー・リーがキャスティングされた。カッシングのヘルシング博士もリーのドラキュラも「当たり役」となったが、ことにドラキュラ伯爵は、映画史上稀に見るキャラクターの決定打となった。

 リー自身は、現在ドラキュラの話をされると、かなりナーバスになるようで、インタビューでも「ドラキュラ」とは口にせず「あの役」と表現することがままあるようだ。しかし、この役はすでに一人歩きをしていることを私は確信する。


【造型】

 クリストファー・リー の「ドラキュラ伯爵」バストアップモデルのフルスクラッチ。
監修は石田 一氏。

 「ドラキュラ'72」バージョンである。この作品のドラキュラは、髪の毛にまとまりが無い。おそらく、シリーズ中最も髪の毛が長いドラキュラだろう。作為的なのか、ヘアメイクがままならなかったのか・・・?そして、マントの紐が異常に長いのも特徴の一つといえるだろう。

 原型はメインにファンド、部分的にポリパテ、エポパテを使っている。


【ポーズの選択】
 フランケンシュタイン男爵胸像を石田氏に贈った数日後に、電話が来、「同サイズのリーの胸像をいずれ・・・」という話があった。リーの胸像となると、どうしてもドラキュラになる。いや、別にフー・マンチューでもグレゴアでも良かったのだが、さんざ苦労して失笑をかうのは嫌だったので、ここは保守的に。

 最初、「吸血鬼ドラキュラ(1958)」の牙をガッと剥いた顔を作ろうかと思ったのだが、石田氏は意外にもそれに「難色」を示した。
あの顔は魚眼レンズのようなもので撮られているから、もろもろの整合性が取れないだろう、というのだ。
さらに、ドラキュラのスタイルが固まるのは70年だという。「帰ってきたドラキュラ」などは額が狭くて「お猿さん」のようだと。

 リーのドラキュラが一番カッコイイのは「ドラキュラ復活!血のエクソシズム」からだと、私も思う。

最終的に、ドラキュラ'72のクライマックスの表情をモチーフにした。

 またしても、ドラキュラの造形物でありながら吸血鬼のシンボルである「牙」を省略した。私はこれでドラキュラを作るのは(ルゴシ含めて) 3体目であるが、いまだに「牙」を作ったことが無い。

 ちなみにネームプレートは「ドラキュラ血の味(1970)」に登場するドラキュラのクラスプ(マントの留め金)についているメダリオンである。


【完成して】

 フランケンシュタイン男爵像と並べてみた。
自分で作っておいてあれですが、言葉がでませんわ。すごく苦労したけど、作ってよかった、出来てよかった。

 この二人を作るのは、長年の「夢」、造型師を始めてからの憧れだったので、感無量。今回だけは「自分で自分を褒める事」を許して欲しい。

【作品データ】

「ドラキュラ伯爵 バストアップモデル」
全高:18センチ(ノンスケール)

完成日:2007年1月10日

造型:小浅 和大
監修:石田 一(Count Japacula)
協力:魔人館