JR七尾線は、石川県河北郡津幡町の津幡駅から、能登半島の中ほどにある石川県鳳珠群の穴水駅の間、その間およそ100キロ弱の距離を結ぶJR西日本の路線です。

能登半島の鉄道は、以前はさらにその先、七尾線が輪島まで、そして穴水から蛸島(たこじま)までは能登線という路線が存在しておりましたが、残念ながら今では七尾線の穴水〜輪島間、能登線全線が廃止され現在に至っております。

この七尾線、実はちょっと複雑な事情を抱える路線でありまして、地元の方はお気付きかと思いますが、一般的には七尾〜穴水間は「のと鉄道やろぉ…」というご認識の方が多いのではなかろうかと。

あまり専門的な説明は避けますけれども、「のと鉄道」は実際には自社で線路を持たない会社です。つまり…JRから線路を借りて運行している会社なんですねぇ…

そんなわけで、七尾線は和倉温泉(見方によっては七尾…汗)を境に2つの違った顔を併せ持つ路線です。

津幡から和倉温泉までは1991年に電化工事が行われており、対して和倉温泉から穴水の間は非電化のまま取り残されました。現在、この非電化部分の列車の運行は「のと鉄道」が担当しております。(実際には普通列車は七尾で分断されており、七尾〜穴水間を運行)

いずれにせよ、七尾線は色々な面で複雑な事情を抱えている路線でございます。。
あまりごちゃごちゃ説明しても良くわからないかも知れませんので…
ま、下の運行形態図でもご覧下さい(笑)

さてさて、ここで取り上げる七尾線は「主に」金沢〜和倉温泉間の「電化部分」を走る普通列車を話題として取り扱う事とし(実際には全列車が金沢〜津幡間で北陸線に直通)、和倉温泉以遠の地域の足となっている「のと鉄道」については、一部の話題として触れていく程度に留めたいと思います。


 七尾線路線図・運行形態図 


ちなみに、JRの北陸圏は交流電化エリアに属しますが、七尾線の津幡〜和倉温泉間は首都圏と同じ直流電化方式で電化されています。その為、北陸本線から枝分かれする津幡〜中津幡間には「デッドセクション(交流⇔直流を切り替える区間)」が存在し、ここを走る全ての列車は、電気方式切り替えのため昼夜問わず一時的に車内の灯が消灯するという特徴を持っております。

 
七尾線の始終着の街…金沢駅前(左)と七尾駅前(右)の様子。

そんな七尾線の電化区間の運行を担う、もとい能登地方の足として日々活躍している車両がこちらの415系800番台という車両。

中間車がピンク色、両先頭車は水色に塗られると言う、鉄道業界では珍しい塗装パターンを採用した特徴ある七尾線の電車は3両編成11本の計33両が在籍し、日々金沢の街と七尾の街の間を往復しております(一部列車は北陸線の小松まで乗り入れ)。

七尾線自体が「事情」を抱える路線であれば、七尾線で使用されているこれら車両たちも「事情」を抱えた車両ばかり。今でこそ能登地方をのんびり走っている車両たちでございますが、実はみんな元を辿れば東京の東海道線や総武線、横須賀線、そして大阪の阪和線や関西線、東海道線などを走っていた車両たちばかりなのです。若かりし頃は大都市圏で酷使されてきた彼等にとって、余生を送る機会を七尾線で、そして能登半島で与えられた事は、私からすれば実にラッキーな事であったと思います。

  なお、七尾線用の415系は運用数ギリギリの数しか存在しないため、車両の点検時などには当然の事ながら車両が不足する事態に陥ります。

そんな時は…
ふだんは北陸本線を走っている白い車両(413系・475系)が、その不足を補う為に七尾線で使用されます(代走)。

白い七尾線に乗れたら…ある意味ラッキーかも知れません(^^;)ゝ

さらに余談ですが…
七尾線には、旧来から特急用の車両を使用した超お得な普通電車が存在します。早朝、金沢から和倉温泉への車両の送り込み回送を兼ねたものなのですが、特急用の車両を普通電車(各駅停車)に使用するというのは、全国的に見ても珍しいケースであると思います。


 

津幡駅

中津幡駅

本津幡駅

能瀬駅

宇野気駅

横山駅

高松駅

免田駅

宝達駅

敷浪駅

南羽咋駅

羽咋駅

千路駅

金丸駅

能登部駅

良川駅

能登二宮駅

徳田駅

七尾駅

和倉温泉駅

田鶴浜駅

笠師保駅

能登中島駅

西岸駅

能登鹿島駅

穴水駅
 
  そんなこんなで、車両の話はこのくらいにして…七尾線を軽くご紹介☆
金沢駅から、七尾線の電車に乗り込んで見ることとします♪

七尾線は、金沢駅ではその殆どが七尾線専用ホームとなっている4番線からの発車となります。

ちなみに…4番線はすこぶる分かり辛い場所に位置しております。日々使われている方ならまだしも、初めて利用する人はちょっと迷うかも知れません。。ホームの案内板を見ても…あれ?4番線だけが見当たらない!?…みたいな。。

金沢の駅を出た七尾線は、東金沢・森本と停車しながら途中津幡までは北陸本線の線路を走ります。

途中津幡から七尾線に入るわけなのですが…津幡を出た七尾線は、先にも記したように昼夜問わず一度車内の灯が全て消える事となります。初めての人はちょっと驚くかも知れません。(特に夜間!?)

理由は…先ほども記したように、津幡〜中津幡間にはデッドセクションと呼ばれる、交流と直流を切り替えるための施設があるためです。


デッドセクションの標識(津幡〜中津幡)

列車は、デッドセクション内では全ての電気機器がOFFとなるため、いわば惰行運転となり、この間に乗務員の手により電車は「交流車」から「直流車」への機器設定の切り替えが行われます。(逆に金沢行きの場合は直流から交流へ切り替え)

そんなこんなで、車内の灯が復活すると電車は再び加速をはじめ、数分も経たないうちに中津幡駅に到着します。

中津幡から先の七尾線は、しばらく宅地開発が進む光景の中を走り、やがて車窓はひたすら田んぼ…という景色に変わります。

…と、こう記すといかにも七尾線は空いているローカル線のように思われる方がおいでかと思いますが…七尾線は、金沢口では意外と混雑の激しい路線です。特に金沢から高松付近までは立席者も出るほど。ですから、金沢から七尾へ向かう場合、甘く見ていると横山か高松あたりまでは座り損ねる事もありますのでご注意のほど。

高松と言えば…余談ですが、石川県は七尾線で言うところの途中高松までが加賀地方に分類され、高松から先が能登地方になります。

石川県の文化も、加賀と能登ではちょっとした違いがありますから…ある意味、この町は色々探ってみると面白い発見があるかも知れません。。

高松を出た七尾線は、先に記した通り、またまた?のどかな景色の中を「爆走(ばくそう)」します。。

なにゆえ「爆走(ばくそう)」なのか…それは半端なく揺れる事を意味します(笑)金沢から乗っていると、明らかに七尾線内では北陸本線内の乗り心地と違う事がわかります。。

北陸線内→ カタンコトン…カタンコトン…
七尾線内→ ガッタンゴットン…ガン…ガ…ガ…ガガン!!

七尾線に揺られていると、時に電車が壊れるのではないか!?…なんて、ちょっと大袈裟ですが本当にそんな事を思ってしまうような「揺れ」と「音」の嵐に見舞われます(^^;)ゝ

さて、七尾線はのどかな景色の中、途中行き違いの列車待ちや特急列車の通過待ちなど、単線特有の「のんびりモード」で一路七尾の街を目指します。

やがて、途中羽咋という大きな街を抜け、金沢からおよそ1時間30分。七尾線の電車は七尾の街に到着致します。。

ちなみに…
JR七尾線は、もうひとつ先の和倉温泉までを一般的な営業エリアとしておりますが、七尾〜和倉温泉間は特急列車のみの運行となっております。ゆえに、七尾線の鈍行列車が和倉温泉に姿を現す事はありません。


七尾線に乗り入れる特急電車683系
早朝の普通電車にも使用されます!

ではこの区間を鈍行で移動したい時はどうするの???という素朴な疑問。

そうです、最初に記したように、この区間の鈍行はのと鉄道が運行しておりますので、そちらを利用するしか術はありません。。ちょっと面白い運行形態ですよね。。

 


和倉温泉から先の七尾線…

津幡から和倉温泉まで続いた電化設備は和倉温泉駅で終わりとなります。つまり、和倉温泉から先の区間は「非電化路線」となります。和倉温泉から穴水間の七尾線は、先に記したように線路と設備はJRなれど、実際にはのと鉄道の気動車(NT200型)だけがいったりきたりしながら営業運行しております。つまり…和倉温泉駅と穴水駅の間をJRの車両が走る事は通常ありえません。

意外な事に、七尾線はこののと鉄道の運行区間ではじめて車窓に海を見る事となります。七尾線というと海岸線を走るイメージがありますが、実際にはのと鉄道の運行区間でしか車窓に海を見る事は出来ないのです。。ホント、これが実に意外なんですよね…

こちらの写真は、穴水駅の先にある、現在の七尾線の「線路の終点」部分。能登半島の鉄路は、この標識をもって途切れております。かつては…この先にも線路が存在しておりました。

「線路の終点」から、その先10メートルもしない場所にこのような「廃線」が存在します。ここから能登半島の奥(輪島、蛸島)まで、ひたすらこのような光景が続いております。線路が剥がされた光景…なんとも寂しい限りです。。