南アルプス縦走4日間南アルプス林道を使わずに北岳に登ったる(2009年9月19〜22日)

某深田さんという方が 北岳について
芦安から広河原まで車道ができたことを 「悲しむべきこと」と書いている。

気持ちはわからんではないが、
「そんなら今の時代に生まれてたら 広河原までバス使わんのやろな」
とツッコミたいんである。

と、亡くなった方に
そんなツッコミを入れるのはフェアではない。

いつの日か、初めて北岳に登るときがきたら、
「そんなん言うんやったら、 芦安から広河原までの南アルプス林道を使わんと 登ったろやないかい!」
と心に決めていたのだ。

9月19日(土)1日目
というわけでバスで着いたのは青木鉱泉である。
南アルプス林道よりはるかに道が悪い、 ということは関係がない。

8時22分、青木鉱泉をスタートする。
今回は4日の日程ということで、 たぶん19.5kgくらいと前回縦走時より軽いので、 比較的ラクに登っていく。

最初のコースタイムは1時間50分だが、 山沿いコースとの分岐まで30分で通り過ぎた。
やけに速い。
どこかショートカットしたな。
ま、いいや。
速い分には。

9時50分、ドンドコ沢コースの最初の滝である南精進滝につく。
ここで地図を見る。
1時間50分のコースタイムはここまでだった・・・。
いくらなんでも1時間50分を30分じゃつかん。

ここからがしんどかった。
白糸の滝に11時5分。
あまりにしんどいのでここで昼食休憩にする。 が、おにぎり2個でサンドイッチは入りません。

しんどかったですが、 五色滝を過ぎると傾斜もゆるくなってきます。
12時35分、なんとか鳳凰小屋に到着します。
なんとか登り切った〜。

ここでサイダー350円を購入するとともに、 残ったサンドイッチを食べます。
曇り空なので汗がひいてくると寒くなってきます。

同じころ御座石鉱泉から上がってきたパーティーが 変なことを言っています。
いわく、青木鉱泉から登ってきた、と。
でも、今きたの御座石鉱泉の方からですよね?
燕頭山あたりを通ってきたという。
小屋の人もビックリの、 どこかわからん沢か尾根を登ってきたようです。
とんでもない上級者か?
しかも道を間違えたのを、 完全には気づいていなかった・・・。

もしかしたらいっぱいになるかもしれないので、 端っこからテント張ってください、 と言われたが、スペースがなくなるほどではなかったです。

小屋泊の人は地蔵岳までピストンで登っていく人もいたが、 ボクはバテて無理・・・。
テントでゴロゴロしてすごした。
さすがにこの季節、この標高。 寒かったです。

晩ご飯はレトルトのカレー曜日ととん汁。

9月20日(日)2日目
3時50分起床。
時間節約のためパン1個とポタージュスープ。
4時57分にまだ暗い中、ヘッデンでスタートします。
日の出までに地蔵岳に着こうとがんばります。
地蔵岳には5時37分。
太陽の方向だけ雲があって日は出ていなかったです。

甲斐駒がカッコよかった。

台風の影響か、風が強い。 寒くて長居できません。

赤抜沢ノ頭に5時57分。
北岳がデッカイ。
そして下は見えません。
見えない下まで1回下りて、 あのデッカイやつに登りかえす。
これぞアホアホ登山である。
気分はなえるが・・・。

高嶺には6時37分。
結構しんどかった。
少し休憩したかったが、 やはり風が強く寒いので6時45分に出ます。

ここからは岩場の下り。
難しいというほどではありませんが、 急なので気をつけて下ります。

白鳳峠には7時28分。
ちなみに赤抜沢ノ頭〜高嶺〜白鳳峠の コースタイム40分・40分は厳しいと思います。
広河原のバスの時間を気にしながら下る場合は、 時間に余裕を持ったほうがいいと感じました。

ここからは一気の下り。
ゴーロのところで浮石に足をのっけてしまい、 コケてしまいます。
太ももの裏に石があって思い切りうってしもた・・・。

ヤバっ!
と思ったが、分厚い筋肉が守ってくれましたな。

プラス、本当にちょっとの脂肪が守って・・・。

ここの下り、ボクの2005年版のエアリアには 荒廃ぎみ、と書かれていますが、 新しそうなハシゴやクサリ、ロープもあって、 荒廃ぎみとは思えません。
最近整備されたのかもしれません。
特に問題のあるコースとは思えなかったです。
ただしんどいだけで・・・。

白鳳峠入口には9時13分。
思ったより早くつきました。

広河原山荘ではブラッドオレンジジュース160円。 意外にうまかった。

今日はもうここで終了、 という体力具合ですが、 天気もいいし、時間も早いので行くしかありません。

自分にムチ打って9時35分出発します。
さすがに北岳、今までと違って人が多いです。 おおらかな登山で、これはこれで気持ちの良いもの。

大樺沢の二俣近くで、
GWの剱岳でお世話になったガイドさんとバッタリ出会います。
バットレスをやってきた帰りだそう。
地蔵岳を越えてここまで来た、 と話したら、
「どんだけ山が好きなんですか!」
と言われてしまう。
そうか、ボクそんなに山が好きだったのか、と気づく。

二俣には11時31分につく。
計画書には白根御池小屋までと書いていたが、 北岳肩の小屋まで行ければ後々ラクになる。
快晴で天気が崩れる心配もない。
肩の小屋まで行こう。

まずは棒ラーメンをつくって食べます。
が、ラーメンは汁飲まないといけない分、 ボクはちょっとしんどいな。

12時に歩き始めます。
でも、さすがにここからはしんどかった・・・。
泣きそうになりながら一歩一歩止まらないように。
右俣コースは次の分岐まで2時間30分。

白根御池コースとの分岐を1時25分に通過。
おー!
あんなにゆっくり歩いたのに速いぞ。
あとは30分や。
14時前には小屋につけるぞー。

小太郎尾根の分岐を過ぎて、 30分ということはもうすぐや。
と思っても、なかなか着きません。
さっきの休憩から1時間以上経過して限界です。 もう着かないといけない時間と体力。

そしてもう死ぬ〜と思ったところに現れたのは 肩の小屋まで15分の標識・・・。
どうなってんね〜ん!

地図をよく見たら白根御池小屋分岐から30分じゃなくて、 小太郎尾根分岐から30分やった・・・。
超超超超超超超超超ガックシ・・・。

意地で休憩はしないで肩の小屋まで行きます。

14時10分、肩の小屋にとうちゃ〜く!
と喜びたいところだが、 なんじゃこの人の多さは・・・。
人が多いのはまだ許せるが、 テント張る場所がないよ〜。

といってグズグズしていると、 まだこのあともテント担いだ人がいっぱいやってきます。
しゃあないので、通路横の岩ボッコのところに無理やり張ります。
んがっ、風が強くて張れません。

テントの中にザックと石を放り込みますが、 それでもポールを入れた瞬間、 ズリズリズリ〜っと持っていかれます。
テントを押さえているので精一杯。
フライが張れません。

苦労しながらなんとか張り終えますが、 張り綱を押さえている石がすぐに持っていかれます。
なんとか大きな石を見つけて、 ようやく安定してくれました。

このままだと、明日撤収するのはもっと難しいぞ。
頼むから明日の朝までには風よ止んでくれ〜!

ちなみに小屋では、 なっちゃんまろやかりんご500ミリ400円。 うまかったよ。

さて、今日の晩ご飯。
残り物のフリーズドライのえびピラフ。
あんましうまくない。
というわけでカリー屋カレーをこれにかけます。
えびピラフにカレーをかけるとどうなるか?

結論
えびピラフにカレーをかけるとカレーになります。
全然OKですが、もったいないのでえびピラフでなくていいですな。

満点の星空。
天の川も天を横断。

しかし、今日も眠れなかった。

9月21日(月)3日目
3時40分起床。
風は止んでくれた。
唐辛子入りトマトソースレジネッレ。
レジネッレってなんですか?
まあパスタですな。

4時51分出発。
意外にしんどく、 ニセピークにだまされながら、
5時21分、北岳に登りました〜。

日の出に間に合います。
富士山と雲海と日の出。
言葉もありません。

というわけで、南アルプス林道使わずに北岳登ったったぜ!

ただ、北岳は人が多くて、 ボクに何も語りかけてはくれなかった。
忙しいのかも。

5時40分、次はあのでっかい間ノ岳を目指します。

北岳山荘に6時35分。
10分休憩。

中白根山には7時15分。
しんどかったので8分休憩。

疲れもピークにくる3日目で、
かなりバテてなんとかかんとか
8時15分に間ノ岳に登りきりました!

間ノ岳はおおらかな山頂。
休みの日にお弁当持ってゆっくりすごしたい山である。
そんな簡単には来られないけど。

この時間なら農鳥小屋までというわけにはいかないでしょう。
大門沢小屋までがんばることにしまして、 8時38分、農鳥岳を目指します。

いやになるほど下りまして、 農鳥小屋には9時25分。
ポカリ500ミリ500円を買います。
やっぱしうまいね。

西農鳥岳へはもう足が上がりません。
さすがに白峰三山。
甘くありません。

どこが西農鳥岳かはわかりませんが、 道標のあるところで5分休憩。

途中、なんとなく見たことのある人とすれ違います。
この前、聖岳であった健脚の単独の女性に似ていた。
わからなかったので声はかけなかったが、 赤いザックカバーには確かに見覚えがある。
この時間にここを通過しているというのはどこから来たんだろう?
まさか奈良田だったりして。

農鳥岳には10時55分に着いた。
ようやく一息つけるよ。
ここも人がいっぱいだ。

間ノ岳が大きい。
北岳はとがっている。
塩見岳はカッコイイ。

ここまでやってきて駆け抜けるのはもったいないが、 今日もイヤな予感なんである。
なんせこの人人人。
大門沢小屋にみなさん泊まるのかと思うと、 あんまり遅い時間には着きたくない。
しかも、あそこに寄りたいし。

11時10分には名残惜しい農鳥岳をあとにします。

大門沢下降点には11時38分。
普通はここから下りますが、 この縦走を始める前から広河内岳に行きたかったのだ。

昔、山の雑誌で農鳥小屋のオヤジが、
「少し足をのばせばいいところがあるのに・・・」
と広河内岳のことを話しているのを読んだことがある。
そのとき以来、広河内岳のことが頭の片隅に残っていたのだ。

大門沢下降点にザックをデポして広河内岳を目指す。
少し歩くと、なんというか、風が変わったことに気づいた。
あんなに多かった人もまったくいなくなる。

空身で20分も登れば広河内岳だ。
人がいないと思っていたところで、 頂上には人がいたのでビックリした。
大きなザックの人ばかり。
白峰南嶺からやってきた人だ。

ここの景色は本当に素晴らしい。
白峰三山とは違う風が吹いている理由がわかった。
ここはもう南アルプスの南部なのだ。
おそらく大門沢下降点の南に国境があるのだろう。

どっちがいいとか悪いではない。
違う風が吹いているのなら、
どっちも経験しないと損ではないか。
農鳥小屋のオヤジは正しかった。

南アルプスを2回縦走して、 ボクの心の宝箱にそっとしまわれたのは
蝙蝠岳と、ここ広河内岳である。

白峰南嶺からやってきた2人組の登山者と話す。
やはり南部のにおいのする人たち。
こんなところにいるのはすごい人たちだ。

で、笊からやってきて笹山(黒河内岳)あたりに泊まって、
今日は北岳あたりまで行くと言って、
あっという間に行ってしまったすごい単独の女性がいた、
と話していた。
聞いた瞬間、ボクはピーンときた。
「赤いザックカバーの人でしょ?」
正解だった。
聖岳であった、
二軒小屋から蝙蝠岳を通って三伏峠まで1日で行った(ボクは丸2日)、
今日西農鳥岳付近であったあの単独の女性に違いない。

彼女は南アルプスの信者なのだろう。
南アルプス南部って、本当におもしろいなあ。

広河内岳はさわやかな風が吹く、
何かを語りかけてくれる素晴らしい山である。
本来、広河内岳は白峰南嶺を通ってきた人にのみ 許される山頂である。
白峰南嶺を通ってきた人とボクとでは見える景色が違うんだろうなあ。
なんだか申し訳ない気がしたが、 でも本当にここまで来てよかった。

大門沢下降点に戻って12時45分に下り始める。
1箇所、鉄パイプと木を横に2本ずつ渡してある橋がある。
高度感がないので大丈夫だと思いますが、 手すりがないのでちょっとコワイかも。

大門沢小屋には14時25分についた。
やはりここも人がいっぱい。
テントを張る場所ももうほとんどない。
少し隣の人にずらしてもらってなんとか石が出っ張ったところに張れた。

16時くらいにはもうテント張る場所がないから、 と小屋の人に断られていた。
そんなこと言われても、小屋もいっぱいやし困るよな。
少し下の河原のところとかに場所を見つけて張った人もいたようだ。

今日は昼ご飯をぬいたので、
晩ご飯はカレーピラフに牛丼をかけたものと、日清焼きそば。
カレーピラフに牛丼をかけるとどうなるか?

結論
カレーピラフに牛丼をかけると牛丼が勝ちます。
全然OKですが、もったいないのでカレーピラフでなくていいですな。

9月22日(火)4日目
4時20分起床。
きのこソースのペンネとポタージュスープ。

昨日はガスってなんにも見えなかったが、
明るくなってみると、
テント場は山と山の間から真ん中に富士山が見えるビューポイントでした。

今日は9時過ぎの身延駅行きのバスに間に合えばいいので、
5時35分にゆっくり下山を開始します。

途中、丸太を2本渡しただけの橋が3つあります。
少しコワイですが、 濡れていなければ大丈夫なような気がする。
見た目よりは全然安定しています。
どうしても怖ければ、またがっていけばOKでしょう。

吊橋をこえ、思ったよりも早く下りてきました。
そういや7時50分っていうバスがあったな。
と思って急ぎます。
奈良田に7時50分は無理かと思ったが、 登山口の第一発電所のところにもバス停があるのだ。

ここに7時35分。
バスの時間をみたら7時57分にある。
4日間の縦走が終わったのだ。

前回、南アルプスは
新橋の小料理屋(そんなとこも行ったことないんだが)の、
化粧もしていない、
でも若くてきれいな若おかみである、
と書いた。

しかし、今回、白峰三山では、
若おかみは忙しすぎて顔を見せてくれなかった。
とても残念だったが、
大門沢下降点から広河内岳に向かったら、
ようやく顔を出して「よく来たね」と声をかけてくれた。

若おかみは広河内岳でおしゃくをしてくれて、
またウインクしてくれたのだ。

たぶん、若おかみは南部担当である。
若おかみに会いたければ南部の方が確率が高い。
次回はもっと南部に行こう。

でも、よく考えたら、
そのカッコウもふるまいも、
たぶん、若おかみの百戦錬磨の手である。

なんで、
気をつけなはれや!

身延駅行きのバスに乗るつもりだったボクは、
1本前に間に合ってしまったので、
なぜか広河原につき、
南アルプス林道を通るバスで帰った・・・。


コワサ・体力レベル

青木鉱泉〜地蔵岳
取り立ててコワイところはないと思います。南精進滝展望コースに行くとクサリ場があります。 心配な人はやめておいた方がいいでしょう。こちらに行かなければ2年目後半なら行けるでしょう。 体力的にはかなり過酷です
地蔵岳〜広河原
3年目以降。高嶺からの下りは急な岩場。難しくはないですが、急なので気をつけて。 白鳳峠からの下りはたぶん整備されたので、かなり安心な状況と思います。
広河原〜右俣〜北岳
2年目後半以降。残雪がなければコワイところはほぼないですが、岩場はあります。 ただし、体力的にはかなりしんどいです。
北岳〜間ノ岳
難易度はそれほど高くないと思うのですが、結構岩場です。3年目以降の方が安心と思います。 ガスっているときは道が錯綜しているので注意。
間ノ岳〜大門沢下降点
結構岩場。3年目以降。そんなにビビるようなところはないですが、高い稜線上なので天気には要注意
大門沢下降点〜広河内岳
ここまで来ているならまったく問題ないです。ガスっているときは道迷いに注意。
広河内岳〜奈良田
3年目以降。上の方は滑りやすいので注意が必要。木の橋がもっとも難しいというかコワイでしょう


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