北アルプス裏銀座縦走6日間ラストストーリは突然に(2011年8月6〜11日)

以前の長期縦走時に、
北アルプスは
「イケメンだがいけすかないヤツ」 とも、 「銀座のクラブのナンバーワンのおねえちゃん」
とも書いた。
とにかく北アルプスは人気なのである。
日本で夏山と言えば北アルプスと言っても過言ではない(過言だが)。

今回、6月に結婚して初めての夏休みは、
相方のみーさんと休みを合わせて縦走することになった。
ボクは1人でしか縦走はしたことなかったので、
2人での縦走は初めてである。

で、どこに行きたいかを聞いたら、
「裏銀座!」と即答である。
というわけで北アルプスは裏銀座を、
いけすかない槍をみながら歩いて、
最後は晴れればその槍にも登ってやろう、
ということになった。

よく考えたら今回の縦走が結婚後初めての旅行ではないか。
これは新婚旅行か?
と思って、
みーさんに「結婚後で泊まりの旅行は初めてやな」
と言ったら、
『この前、尾瀬に行ったじゃん』
「・・・」

8月5日(金)
21時過ぎに家を出て、
待ち合わせの駅まで移動する。
同じく北アルプスに行くK林さん親子が、
信濃大町なら車に乗せていってあげるよ、
というので信濃大町駅まで乗せてもらった。
2時過ぎには信濃大町駅にはついたので、
新婚の2人はステーションビバークである・・・。

8月6日(土)1日め
一部情報によると、
七倉から高瀬ダムへのタクシーは
朝6時半ころにならないとゲートがあかないということだったが、
タクシーの運転手さんにもう大丈夫だよ、
ということで、思ったより早めに移動する。
途中ゲート前で登山計画書を書かされるが、
あらかじめ用意しておけば時間もかからず通過できます。
ちなみに信濃大町駅から高瀬ダムまで8000円。

ということで5時半過ぎには高瀬ダムに到着。
おにぎりとサンドイッチを食べて、
あれこれ準備をして6時17分に出発できた。

心配だった天気も、
タクシーに乗っている間は思いっきり曇っていたが、
晴れ間ものぞき、まずまずの天候である。
みーさんは初めての長期縦走ということで、
体力を心配している。
ボクのザックは推定23kg超(ストック重量込み)、
みーさんのザックは推定19kg超(同)。
もう少し軽くしたほうがよかったか。

ま、北アルプス3大急登と言われるブナ立尾根だが、
本日のテント場である烏帽子小屋まで標高差1280mである。
丹沢大倉尾根よりちょっとしんどいくらいやん、
ということでお気楽に登り始める。

本格的な登りに入る手前の沢を渡ったところの左側に最後の水場がある。
ここで少し多めに水を汲む。

ここからはうわさ通りの急登。
とくに階段が多く、体力を思ったよりも吸い取られる。
みーさんはかなりゆっくり進んでいるが、
今日は早めに出発できたので時間には余裕がある。
とにかく今日は登りきることだけに専念。

ブナ立尾根には○/12という形で、
だんだんと数字が減っていく標識がある。
12/12が登り始め
0/12が小屋となる。

この数字を楽しみに歩くのだが、
これが減らね〜。

もうね、10/12とか出てくるとガッカリですよ。

晴れ間ものぞいていた空は、
再びガスがたちこめてくる。
樹林帯の登りなのでガスは暑くなくていいのだが、
6/12まできたところで雨があたり始める。
ここから降られてはきついが、
まだそれほどでもないので、
ザックカバーと雨具の上だけで行くことにする。

このあたりからみーさんがかなりきつそうになってくる。
ボクのザックに少し荷物を移そうかと思ったが、
それではみーさんの長期縦走の醍醐味を奪ってしまう。
というわけで、そのまま担いでもらう。
いや、ボクの荷物が重くなるのがイヤとかそういうことやないですよ。
あくまでみーさんの醍醐味を奪わないためですからね、うん。

4/12で昼飯にすることにしたが、
つくころには本格的に降られてしまう。
そこにいたグリーンパトロールのおねえさん2人組に会う。
「そこが三角点ですよ〜」と教えられる。
というわけで4/12が三角点ポイント。
かなり濡れてから雨具の下をはく。
ここで傘をさして立ちながらの昼食。
おにぎり2個とサンドイッチ。

11時37分にここを出発。
みーさんはもうかなりきつそうである。
時間に余裕があるとはいえ、
コースタイムからもかなり遅れている。
雨だけならいいのだが、
雷になると困る。

少しあせるのだが、
あせっても仕方がない。
2/12で最後の休憩。

ここらへんでは、
同じように苦しんで登っている人たちと抜きつ抜かれつ。
お互いに励ましあいながら、
なんとか足を前に進める。

最後もみーさんに『あと10分は歩けない』と言われるが、
「じゃあ5分だけ歩こう」
と励まし、時計を見ながら1分経過、2分経過、
とカウントしながら進む。

5分では到着しなかったが、
それでも5分たつともう下りで、
小屋の発電機のような音が聞こえてきています。
最後は雨もやんだところで13時30分ころ、
烏帽子小屋にとうちゃ〜く。
なんとか登りきりました〜。

で、テント場に移動してテントを張ろうとすると、
雨が降り始める・・・。
濡らすのはいやだから、
雨がやむか弱くなったところで張ろうと時間待ちしていると、
弱くなるどころか雷雨に・・・。

傘をさしてしゃがんでじっと待つ。
待つのだが、弱くなりかけたかな、
と思うとまた強くなり、
完全に張るタイミングを逸してしまう。

意を決して、少し弱くなったと思い込んでテントを設営する。
が、こういうときに限ってポールがうまく入らなくてまごついてしまう。

で、テントを張って中の水を処理してると、
雨はやむんである・・・。

そしてザックの中の防水(のはず)のスタッフバッグは、
かなり防水ではなくなっていることが判明した・・・。

隣のテントの人はゴアのシングルウオールのテントだが、
かなり底面から浸水したらしく、
結局テントを撤収して小屋泊まりに変更したよう。
それに比べればマシか。

雨がやんだので小屋に戻って、
恒例の山小屋ジュースを探す。
ポンジュース400円。
うまかったが小さいのがなあ。

夕食は2つだけ持ってきたレトルトのカリー屋カレーと赤だし。

その後も降ったりやんだり。
明日も天気は心配。
本当は今日のうちに烏帽子の山頂に行くはずだったが、
この天気では行けない。
というわけで早くも行程が遅れている。

もし、明日も雨だと停滞だろうか。
水場のないところで停滞はイヤだが、
稜線伝いなのであまり悪天候の中を突っ込むわけにはいかない。

ま、なるようになるさ、
とあきらめてシュラフにもぐる。

夜行で、しかもきつい登りをこなしたので、
あっという間に寝てしまい爆睡となった。

8月7日(日)2日め
4時起床。
天気はいいようだ。

おまんじゅう1個を食べて、
水だけ持って4時21分、烏帽子岳に向かう。
われわれが1番手だったようだが、
途中で抜かれて2番手で5時過ぎ、
烏帽子岳の山頂に。

赤牛岳、薬師岳、立山、剱岳もカッコよく見えている。
特徴的な山頂だが、
展望もいいです。
いやあ、昨日のいろんなことが報われましたよ。

山頂直下はなかなかなクサリ場です。
すれ違いが難しいので、
あまり大人数で行かないほうがいいでしょう。

で、帰りのこと。 われわれが上のクサリ場を通過し、
みーさんが下のクサリ場を通過しているときのことです。

登ってきた、こんなところにもストックを離さないおじさんが、
上のクサリ場に差し掛かります。
と、おじさんがこぶしより大きな石を落します。

横で見ていたボクの目に、
みーさんに向かって落ちていく石がうつります。
あまりのことに「ラク!」の声も出ず、
「危ない!」と叫ぶのがやっと。

石はみーさんのやや後ろ、
こちら側からは近く見えましたが、
少し向こう側を通過したようです。

みーさんは見えていなかったようで、
かえってよかったですが、
見えていたボクはかなりビビりました。
「ラク!」とか、突然には声出ないもんですね。

おじさんもボクの声で気付いたようでしたが、
何度も謝っているし、
落そうとしてやったもんじゃないし。
まあ、なにごともなくよかったです。

このクサリ場、足場もつくってありますし、
めちゃくちゃ難しいわけではないですが、
すぐに山頂ですし、
少なくともストックはいらないです。
ほかにもストックを持ってきている人いましたけど、
クサリ場の前のどこかに置いていく方がいいでしょう。

烏帽子岳のカッコイイ姿を見つつ、
テント場に戻ります。

と、ガスが出たと思ったら、
赤牛岳側にブロッケンが!
手を振って楽しみます。

テント場に戻ってきますが、
テントは濡れたままです。 はぁ・・・

朝食はわさび茶漬け。

濡れたままのテントを撤収します。
重くなっちゃったよ・・・。

テントを撤収していると、
昨日会ったグリーンパトロールのおねえさん2人組が、
テント場の清掃、整地作業をしています。
整地作業をしているテント場なんて珍しいなあ、
と思いましたが、
どうやらお世話になった小屋のために、
グリーンパトロールのおねえさんたちがお手伝いをしているようです。

グリーンパトロールのおねえさんと、
ちょっと話しこみます。
「テント泊はいいですね〜」
などとうらやましがられます。

出発は8時4分。

本当は高天原まで行く予定でしたが、
烏帽子をピストンしてからだと、
われわれの足では難しい距離。
しかも天気が心配。

水晶小屋には泊まれたとしてもいっぱいでしょうし、
もう野口五郎小屋までのほふく前進にしておきます。
コースタイム3時間半のゆるゆる行程です。

ガスったり晴れたり
なかなか裏銀座縦走コース一望というわけにはいきません。
野口五郎小屋200m手前で座り込んでいると、
急に空が黒くなってきます。

あわてて小屋まで急ぎます。
雨が降り出したところで12時前に小屋に到着。
と同時に雨が激しくなります。
間一髪セーフ!

テント場はありませんので、
ここは小屋泊です。
迷わず1泊2食を選択、1人9000円・・・。
ポンジュース400円。

荷物が減らないのでお昼は自炊の予定でしたが、
小屋の自炊場はいったん小屋を出ないといけないので却下。

みーさんが『ビール』というので、
仕方なく、あくまで仕方なく350ミリビールをいただきます。
もう1杯飲みたいと言うので、
あくまで仕方なく、つきあいで2本めを飲みます。

そうこうしていると、
今朝テント場で会ったグリーンパトロールのおねえさんがやってきます。
どうやら移動しながら活動するようです。
少し話をします。

昼ごはんはビールと真空パックのいかめし。
ポンジュース400円。

夕食はおかわり自由だと言うので、
目がキラーンとしまして、
おかわり2杯してやりました。

小屋はふとん1人に1枚で、 まだ少し余裕がありました。

この日は眠ることができなかった。

8月8日(月)3日め
朝起きるとガスが晴れています。
4時ころ起床。

団体さんが早だちするので、
朝食が4時30分でもOKになりましたので、
こっちも4時30分にしてもらいます。
当然、朝もおかわりでご飯は2杯いただきます。

5時8分に出発しますが、
さきほどまで晴れていたはずなのに、
すでにガスガスです・・・。

目指すはすぐそこの野口五郎岳。
ガスよ晴れろー!
と念じますが、
ガスガスのなか山頂に。
5時24分。

山頂では念願だった、
「野口五郎岳で野口五郎を歌う」ことにします。

私鉄沿線に住むボクが歌うのは、
♪改札口で〜君のこと〜・・・
そんだけしか知らない、と。

これだけではあまりに短すぎます。

というわけでもう1曲いきます。
みーさんにケータイ写真を預けて、

♪青いリンゴを〜抱きしめ〜ても〜
思いでさえ〜帰らない〜 ッパッパパ〜
涙〜
涙の海に今〜
ボクは深く沈もう〜

サビしか知らないですけどね・・・。

というわけで念願だった野口五郎岳で野口五郎を歌う、
のミッションに成功〜!

ちなみにマジで本当に歌ってます(←アホ)。

もうひとつちなみに、
「青いリンゴ」は、
ボクはリアルタイムでは知りません。
先輩のカラオケの十八番だから知ってるだけです。
世代が違いますからね〜。

さて、今日は高天原温泉まで行く予定です。
ゆっくりはしていられません。

5時42分に出発します。

野口五郎岳からの下りでは雷鳥の親子を発見。
今回初の雷鳥を楽しませもらいます。

裏銀座コースは槍を見ながら歩けるのがいいところ。
が、ガスガスで槍どころか、の状況。
しかし、時間がたつにつれガスも晴れてきます。
東沢乗越につく前には完全に晴れて、
槍も姿を現わします。
こうなるとテンションも上がります。

途中で、あのグリーンパトロールのおねえさんにも抜かれます。
どうやら今日は高天原山荘に移動するみたいで、
われわれと同じ行程のようです。
さては運命の出会いなのか?

水晶小屋手前のトラロープの張ってあるところ。
前を歩くみーさんがふっと谷側に重心が移動します。
あっ!
と思いましたが手が届きません。
滑落か!

と思いましたが、 みーさんが手を伸ばしてトラロープをつかんで事なきをえます。
本人的にはなんてことなかったのでしょうが、
後ろで見ていたこっちは一瞬マジでビビりました。

あとは水晶小屋までとくに難しいところもなく到着します。
グリーンパトロールのおねえさんに出迎えてもらいます。
さてはボクに惚れたか?
9時4分。

槍や赤牛岳がよく見えます。

山小屋ジュースはトロピカーナのグレープフルーツ。

天気が心配なので早めに出発します。
9時16分発。

空が暗くなりかけているので先を急ぎます。

岩苔乗越から高天原山荘に向かいます。
上部は雪渓もあるし、
きれいな水も流れて、
しかもクルマユリも混じった素晴らしいお花畑。
気持ちよく下っていきます。

水晶小屋を先に出発しましたが、
追いかけてきたグリーンパトロールのおねえさんに抜かれます。
本当によく会うな。
こりゃ運命的な出会いだな。

最初はよかったものの、樹林帯に入ってからが厳しい下り。
いけどもいけども終わりません。

途中、11時も過ぎてから単独の男性とすれ違います。
「上はまだですか?」
と聞かれます。

もう1時間半は下っています。
いやあ、まだまだ遠いですよ、と答える。
しかし、この時間にここということはどこから来たんだろう?
と思って聞くと、高天原山荘からで6時半に出てきたという。
う〜ん、そんなにかかるのか?

で、よくみるとその人のザックにはいろんなもんがくっついているんですが、
ザックはもう横を向いています・・・。
どうやって担いだらザックが横向きになるんだ・・・。

下りでも本当に長かった。
水晶岳からの尾根が下ってきているところが水晶池のところのはずなのだが、
尾根あたりにきているはずなのになかなか水晶池が見えてきません。

みーさんもかなりきつくなってきているようです。
ようやく水晶池につきます。
ここでやれやれの休憩。

このコース、樹林帯に入ってしまうと、 休憩できるような場所がありません。
それだけにキツイ。
下りでもキツイので、 ここを登るのはかなり厳しいと思います。
そんな厳しいと思わないだけに余計にしんどいでしょう。

最後は傾斜がゆるくなってきて、 高天原峠からの道が合流したら高天原山荘に到着します。
12時40分でした。

テント担いで2日連続の小屋泊、
1泊2食付きです・・・。

小屋は新しくなったようで、
非常にきれいでした。
まずは恒例の山小屋ジュース。
パック入りの見たことないものが売っています。
忠之助りんご水300ミリ。
ま、東京では見たことないので今山行のベストジュースに認定である。

温泉セットを持って温泉に向かいます。
結構歩きまして、
正味15〜20分歩きます。
で、ここで温泉に入ってもいいのだが、
ここはひそかに行きたいと願っていた夢の平・竜晶池に向かいます。

さらに15〜20分歩きます。

夢の平・竜晶池は別天地。
なにもないところですが、
人もいないし、本当に静かなところ。

ニッコウキスゲが咲き、
トンボが舞い、
赤牛岳が水面にうつります。

高天原まできて、
ここにこないなんてもったいないよな〜。
どうしてこないんだろう?

と思っていると、2人組がやってきました・・・。

ま、なんにもないところですけど、
時間があればオススメの場所です。

戻りまして、今度こそ温泉に入ります。

男風呂(混浴)の方は、湯を抜いて洗ったばかりということで、
湯はまだ少なめでしたが、
それでも気持ちよく入ることができました。

縦走中に風呂に入れるというのはいいですねえ。

小屋に戻ってからCCレモン350ミリを一気飲み。
今日は天気が崩れそうで結局崩れなかった。

夕食はもちろんおかわりでご飯2杯食べてやりました。

この日もふとん1人に1枚で余裕。
まだまだふとんは余っていました。

●その2に続く●


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