北アルプス5日間槍穂涸沢から7年目の招待状(2010年8月17〜21日)

大江戸の
暑さに人も住みかねて
もとの寒さの
アルプス恋しき

8月17日(火)1日目
朝起きると晴れている。
テレビは猛暑日になると、
盛んに訴えている。
北岳ではあんなに寒かったのに。

ダメだ。 せっかくの夏休みに、
こんな暑いところで何もしないで過ごすわけにはいかない。
とにかくアルプスに出かけよう。
北岳での敗退のまま、
夏休みを終えるわけにはいかない。

週間天気予報では晴れマークが並んでいる。
山の天気予報はまだよくないが、
登山口に行くだけでもかなり涼しいはず。
登山口にテントを張って、
もし天気がよければ山に登ろう。
うん、完璧な計画だ。

とはいうものの、
登山口にテントが張れるところなんて、
そうは知らない。
というわけで上高地で避暑である。

南のかたきは北で討て!

朝のラッシュ時間は避けて、
10時新宿発のスーパーあずさに乗り込んだ。
電車とバスを乗り継ぎ、
上高地に着く直前、
釜トンネル入り口で強い雨になって気分がなえたが、
上高地ではほぼ雨もやんだ。

なんの準備もせず、 北岳で敗退したときの荷物をそのまま詰め込んだので、
少なくとも7日分は担いでいる。
まあ天気に恵まれたとして土曜日まで。
天気が悪ければ、もっと早く下山する可能性もある。

上高地の登山計画書を出すところで、 日付が複数入ったいい加減な計画書を提出。
まあ天気が悪そうなので、テント場でまったりでも全然OK。
山に行ければいいほうなんだよ、
とつぶやき、14時42分出発する。

雨なら小梨平でテントの予定だったが、 やんだんなら徳沢で張ろう。
あの草原みたいなところで、 1回張ってみたかったんだよな。
と歩いていると、どんどん晴れてくる。
穂高のあたりも、山頂以外は姿を現す。

登山口でもいいや、 と思っていたのに、
こうなってくると気分も盛り上がろうというもの。

徳沢には思ったより早く、 16時にはついた。
ここは広々として気持ちがいい。

テントを張って、
夕方に朝の健康果実カシス&グレープ250円を飲む。
あんまり歩いてないから、そんなにうまく感じないですな。

徳沢は風が通って、涼しくて気持ちいいです。
テント前にレジャーシートを広げて、
東京は暑いんだろうなあ、 と思いながらゴロゴロします。
気分いいねえ。

夕食は重いもんからのセオリー通りに、
最初で最後のレトルトカレー、
こくまろカレーとカニ汁。
まったく物足りませんが、
やせてモテモテになるために、
今日はこのくらいにしといたります。

とにかく涼しいのが一番。
といいつつ、
この調子だと明日の天気は期待できるんじゃあないかなあ。
そしたら徳沢で停滞しないですむ。
そしたら、あの涸沢てなところに行ってやるか。

実はボクは今まで槍ヶ岳も穂高も涸沢も行ったことがない。
いいところらしいが、
ネコも杓子もみんな行くところなので、 気が進まなかったのだ。

だいたいザイテングラートである。
グリーンバンドである。
ジャンダルムである。
なんやねん、それ。
名前からしていけすかないよなあ。

8月18日(水)2日目
3時30分に起きるはずが、
目覚ましの音に気がつかず、
周りの音に起こされ、4時24分に起床。

涼しくて、ぐっすり眠れたらから最高なんですが、
しかし外は快晴。
とすれば、こうしてはいられない。

涸沢に突撃して、
涸沢がなんぼのもんじゃい!
と言ってやるのだ。

あわててペペロンチーノとポタージュスープの朝食。
5時27分に出発する。

穂高のほうがよく見えています。
どれがどれかはわからないが・・・。
横尾には6時10分に到着。
5分休憩。

さあ、いよいよ涸沢行っちゃいますか。

サクサク進んで本谷橋に6時58分。
8分休憩。
ここからはしんどかったが、 途中で意外に近く小屋が見えてくる。
沢のところで休憩しようと思ったが、
もう近いだろうから、
え〜い、行ってしまえ〜。

涸沢ヒュッテには8時17分。
初めてなので勝手がわからず、 まごまごしてしまう。
とりあえず勝手に張って、
15時以降に受付開始という不思議なシステム。
いや、いけすかないテント場ではこれが普通のシステムなのか。

ともかく適当にテントを張って、売店に行く。
これやこれ。
雑誌で見たことあるわ。
ここで生ビール飲みながら、
この景色を見るんやろ。

おー!
そら、人くるわ。
涸沢、なんぼのもんやわ・・・。

ボクは山では酒を飲まないので、
生ビールというわけにはいかないが、
なっちゃんオレンジにしよう。

と思うと、
カレーライス800円と書いてあるではないですか。

さっきから腹へってたんだよなあ。
じゃあカレーライス!

と9時にもなってないのに頼んでしまう。
これ昼ごはんかなあ?

なっちゃんオレンジを飲んでから、 と思っていたらすぐにカレーライスが出てきた。
もう寸胴にカレーができているので、 入れるだけなのだ。
なんかすごいな。

しかし、こんなところで昼ごはん食べるから、
ザックの荷物が減らないんだよな。

涸沢のカレーライスは、
レトルトのカレーより全然うまかった。
いやあ、涸沢でカレーライス食べたった。
なんや都会モンになった気分ですな。

てか、涸沢に洗脳されてないですか?

いかんいかん。
こんなに天気がいいのに、
こんなところでボーッとしてたら人間がダメになってしまう。
カレーライスパワーで北穂高岳に登ろう。

ボクのつたない知識では、
北穂高岳は奥穂高岳よりは難しくない、
ということになっている。
9時10分に出発。

軽いザックだから大丈夫だろう、
と思ったのですが、
いきなりしんどいですな。

1つめのクサリ場の手前で10分休憩。
涸沢が小さく見える。
天気がいいので安心である。

もうついたか、
もうついたか、
と思うがなかなかつかない。
結局ピークだと思ったところ(ピークなんだが)は巻きまして、
さらに先のピークに登らされます。

涸沢からは軽荷とはいえ、 今日は徳沢から登ってます。
もう死にそうになって疲労困憊で
11時14分、ついに登りきりました〜。

うおーっ!
穂高って名のつくところにボクもついに登っちゃったよ〜。

北穂高岳、
さすがに穂高の名前がつくだけあって、
しんどく、しかし素晴らしい山である。

奥穂高岳、前穂高岳方面はギザギザで、 とても登れなさそうに見える。
槍は向こうのガスで見えたり隠れたりしています。
でも、この時間にしては天気もよく、
ものすごく気持ちのいい山頂です。
これぞ夏山や〜。

周りの人はお昼ごはんを食べています。
でもボクはお昼ごはんを持っていません。
さみしい・・・。
いや、涸沢で食べたやないですか。

学生がカルパス(棒状のサラミのようなもの)を食べています。
あれ、いいなあ。
下界で食べる気はしないけど、
山ではあのギトギトした感じの肉肉しいやつがええわ。

ボクもビーフジャーキーは持っているが、
ビーフジャーキーよりええな。

でも、持ってないものはしゃあない。
ビーフジャーキーでガマンしよう。
と思ってザックをまさぐるが、
ビーフジャーキーがなーい!

なんでやー?

あ、テントにぼろぼろ出して軽くしたときに、
なんか赤い袋が見えていたような・・・。

はあ・・・。
ビーフジャーキー、テントに置いてきてしもた・・・。

また隣の学生団体が
「カルパスうまーい!」
と感動しています。

カルパス・・・。
ビーフジャーキー・・・。

学生団体よりひもじい思いしてしまうとは。

すぐ下の 北穂高小屋に寄ります。
悩みに悩みますが、
ポカリ300ミリにします。
が、300ミリじゃあ全然足らん・・・。
500ミリのにすればよかった・・・。

小屋のテラスから下をのぞきます。
これが大キレットかあ。
うーん、こんなとこ行く人の気がしれん。
ガケやないですか。
しかもあんなところに人いるよ・・・。
こっちの心臓に悪いわ。

さて北穂高岳である。
南峰と北峰からなる。
ボクのエアリアでは南峰が山頂のように書かれている。
が、実際の登山道が導くのは北峰である。

地図を見ると南峰が山頂だから、
そこがゴールと思って登ると、
さらに北峰までのコースタイム20分が加わるから、
しんどいんですね。
南峰のところについている丸印は
奥穂高岳へ向かう分岐でしかない。

まあ、それはまだいい。
地図によると南峰の方に3106mと書かれている。
しかし実際に登らされる北峰の標識に3106mと書かれている。
どっちかがおかしいですな。
見た目では登れない南峰の方が高いし。

まあ、それもいいか。

1時間休憩。
あんなに苦労して登ったのに、
なんで下らなければいけないんだろう?
てか、なんで登ってしまったんだろう?
などと学生団体と話してから下山開始します。

登りではあまり感じなかったコワサを感じます。
著しく難しいところはないのですが、
スリップ注意で、
浮石注意で、
落石注意です。

ものすごく気を使います。

北穂高岳、あなどれません。
北穂高岳でこうということは、
奥穂高岳は・・・。

下っていると、 ものすごい落石の音が。
奥穂高岳方向のようです。
あんなとこ、登れんよなあ。
2度3度、大きな落石の音がしていました。
大きな雪渓に落ちているようです。

うん、奥穂高岳はいいや。
コースがコワイからやないで。
コースがコワイからやないで。
いや、2回言わなくてもわかります。

1枚岩のクサリ場は、
1歩ずつ足場が切ってあるので、
よく下を見たらいけますが、
それでも気をつかいます。

2時2分、 登りとあまり変わらない時間で涸沢まで戻ってきます。
コースタイムは下りが厳しいめで、
下りは時間に余裕をみたほうがいいと思います。

涸沢では、また売店でソフトアイスマンゴ500円を食べます。
もう少し欲しいな。
立て続けになっちゃんオレンジ500ミリ。
さっきもなっちゃんオレンジ飲んでませんでしたか?

そうやった・・・。
微炭酸のMATCHにすればよかった。

で、テラスから地図を見ながら上を見上げます。
奥穂高岳へのルートは雪渓を通るのではなく、 右の方から回り込むようについているようです。
それなら行けるかもしれん。
そう思い直した。

張り出されている天気予報を見ると、
明日は曇りか霧のち雨か雷雨。
天気が悪いようなら奥穂高岳には登る気がせん。
明日起きて、天気を見て決めよう。

夕食は炊き込みおこわと焼きそばと赤だし。
焼きそばが入ると満足度が上がります。

8月19日(木)3日目
今日も寝過ごした・・・。
4時24分起床。
外を見れば快晴である。

となればグズグズしていられない。
朝食はナポリタンとポタージュスープ。

テントは片付けないでいいので、
4時52分スタート。
サクサク進みます。
ザイテングラート(どういう意味か、どこからそうかは知らないが) に入るとちょっとコワイです。
下りは大丈夫かなあ。

6時30分、穂高岳山荘に着く。
トイレ休憩。
ここからはいきなりとんでもない垂直の岩場の登りです。
見えるだけにしんどい。

こ、これは無理かもしれん・・・。
やめるなら今のうちや。

弱気になっていたのですが、
なにものかがボクを突き動かした。
大丈夫。
ボクならいけるはずや。
慎重に慎重に行こう。

上からは人は下りてこないし、
後ろにも人はいません。

よし、行こう。

いきなりすごい岩場。
クサリ場。
ハシゴ。

なんじゃーこりゃ!

心を奮い立たせて、
3点確保を自分に言い聞かせて、
慎重に慎重に。
死んでも落ちられん。
落ちなきゃ死なないが。

こんなすごいとこ、
ホイホイ登ってる人の気がしれん。
こんなとこ登ってる人、尊敬するよ。

と、思うと、 急に傾斜がゆるくなりました。
終わったのか?
あのしんどいところは?

厳しいのは最初の7〜8分だけで、
そこからはもう緩やかに登るだけです。

7時15分ころ、
奥穂高岳に着きました。
あの、奥穂高岳に登ってしまいました。
前にいた学生団体と登頂を喜び合う。

さすがに穂高。

山頂は祠と展望板のあるところが高くなっています。
どちらにも登っておきます。
普段は景色の写真はとっても、
自分の写真はとらないのだが、
ここではジャンダルムをバックに1枚だけとってもらいます。

ジャンダルムに2人いるよ・・・。

高いところはほかの人にゆずって、
前穂高岳方向の広いところで休みます。
快晴ですので、あちこち見えています。
槍も見えています。
あっちの方が高く見えるから不思議。

涸沢岳や北穂高岳はかなり下に見える。
本当にこんなところまでよく登ったよ。

でも、まだあそこを下らなければいけないのだ。
自分の気持ちを切らすわけにはいかない。

十分楽しんだので、
7時45分ころ、下山開始します。

下りだと少しこわいところもある。
しかし、やはりあそこの最後のところである。

とにかく慎重に行く。
登ってきた人をやり過ごし、
先が見えないところでは、
登ってきた人に後続を確認する。

1歩1歩確実に。
足場はしっかり。
手は絶対に離さない。

そして穂高岳山荘に下り立つ。

無事に登って、
無事に帰ってきたのだ。

静かなる喜び。

穂高はどれだけ俗化されても、
やはり穂高である。

本格的に山に登るようになってから
7年目のシーズン。
このときに登ってよかった。

2年前、3年前に来ていたら、
無事に登れたとしても、
違う評価を下していただろう。

今まで接してきた本や雑誌やインターネットの情報。
ここをはじめとした山の知り合いの言葉。
山ですれ違った登山者と交わした何気ない会話の数々。
そして、
山の素晴らしさを教えてくれた利尻岳。
初めてボクに鉄槌をくらわした谷川岳。
初めて経験した羅臼岳の大沢雪渓。
赤岳横岳の岩場。
乾徳山のクサリ場。
あの水晶岳の感傷。
阿弥陀岳のつかめばとれてしまう岩。
いとおしく、しかし感傷を許さなかった赤牛岳。
笊ヶ岳の今にも壊れそうな橋。
北俣岳のなかなか踏み出せない1歩。
北岳肩の小屋での敗退。
昨日登った北穂高岳。
そして今まで登った山のすべてが、
そのすべての経験が
ボクを奥穂高岳に導き、
奥穂高岳に登らせてくれた。

本当にありがとう。

下りてきた学生団体と無事を喜び合う。
静かに高ぶった気持ちを押さえるのに15分かかった。

登りのときには、
下りでは難しいかも、
と思っていたところは、
あのあとだけになんでもない。
それでも慎重に下る。

9時50分ころ涸沢に戻ってくる。
売店でMATCH500ミリを飲む。

今日はザックの中身を減らすため、 担いできた中華三昧広東風ラーメンを食べる。
あんまりおいしくなかった。
汁を飲むのがつらかった。
さっき500ミリ飲んだからな・・・。

さあ、どうしましょう?
もうまったり停滞でもいい。
槍を目指して進んでもいい。

奥穂高岳登頂の喜びにここで浸るのもいい。
天気はこれから下り坂である。
この時間からでは殺生ヒュッテまでは無理。
ババ平までになるだろうが、 雨が降ってきたら横尾泊まりになるかもしれない。
横尾に張るくらいなら涸沢の方がいい。

などと逡巡するが、
残りの日程を考えて、 やはり進めるうちに進もう。

そう考えてテントを撤収し、
11時25分、涸沢をあとにする。
もう曇りになっている。
早めに登っておいてよかった。

25分ほど下ったところで、
「おー! はっしー!」
と声をかけられる。

ぬおっ!
登ってきた関西の知り合いのわいはん、びすこさんとバッタリ出あう。
「どこ行くん?
涸沢で飲もや!」
そう言われたボクは
なぜか涸沢に向かって登り始めていた・・・。

アホやな、ボク。
まあ、計画的な登山じゃなかったし、
まあそれもいいか。

涸沢につき、
山では酒を飲まないボクだが、 生ビールを飲んだ。
テラスで飲む生ビールはやっぱしうまい。

テント場では 「好きなところに張ってよ。近くに張るから」
と言うと、
「じゃあここに張るから、はっしーはそこに張って」
と、この広いテント場でボクが指定された場所は、
さっきまでボクが張ってたところである・・・。
なにをやってるんだ、ボク・・・。

テントを張り終えるのを待つかのように、 雨が降り始めてきた。
売店に移動すると、 雨が強くなってくる。

涸沢を遅く出た組は山のなかで雨に打たれているだろう。

生ビールをもう1杯飲む。
奥穂高岳登頂の祝杯やからいいでしょう。

わいはんがいいちこを買って、 テント場でも飲んだ。

夕食はえびピラフと焼きナス八丁味噌。
そのあともいいちこを飲んだ。

8月20日(金)4日目
3時45分起床。
今日も天気予報は曇りか霧のち雨、
というものだったが、
晴れた。

朝食はさけ茶づけ。
奥穂高岳から前穂高、岳沢に下るという2人を見送って、
5時5分、こちらも今度こそ涸沢を下る。

槍ヶ岳の方に進むか、
もう上高地に下山するか。
日程的には槍ヶ岳に登れるが、
そうすると穂高の印象と半々になってしまう気がして、
このまま下ろうかとも考えていた。

横尾まで
どうしようか、と思って下る。
横尾でトイレ休憩にする。

しかし、そのときにはもうボクの心は決まっていた。
心の郵便ポストに槍ヶ岳からの招待状が届いたのだ。

もう7年目である。
もう槍ヶ岳に登ってもいいだろう。
槍ヶ岳は穂高と一緒に登られることを望んでいるようだ。

槍ヶ岳には晴れの日にしか登りたくない。
ガスのなか槍ヶ岳に登るつもりはまったくなかった。
しかし、ボクが登るときには槍ヶ岳は晴れる。
天気予報うんぬんではなく、
ボクには強い確信があった。

槍ヶ岳はボクに招待状を届けた以上、
ボクに最高の槍ヶ岳を見せびらかすだろう。

謙虚過ぎてもいけない。
招待状を受け取った以上、 ボクは槍ヶ岳に行かなければならない。
それがボクと槍ヶ岳との約束である。

7時9分、横尾を出る。
槍沢ロッジに8時13分。
なっちゃんすっきりオレンジ350ミリ。

大まがり9時10分ころ。
天狗原分岐9時58分。
ここからしんどかった。

ヒュッテ大槍分岐10時48分。
もう死ぬ〜。
ザックの上にぶっ倒れていたら、 下りてきた人に見つかり笑われてしまう。

でも殺生ヒュッテはもう見えている。

なんとかがんばり、
11時30分、殺生ヒュッテに到着する。

ここには知り合いが働いているのだ。
槍ヶ岳のふもとの山荘に知り合いがいるなんて、
なんやボクもいけすかない感じやな。

受付で再会を喜び合う。
とりあえず腹が減ったので、
おにぎりと白桃フルーツ缶を頼む。
また、小屋で食べるんですか。
ザックの中身が減らないはずです。

んがっ、 白桃フルーツ缶、激うまっ!
なんで山ではこんなにフルーツはうまいのか。
白桃フルーツ缶考えた人を賞賛します。

おにぎりは2個600円と高い(小屋の人の談)のだが、
コメがめちゃうまっ!
アルファ米がうまくないって、やっとわかったよ。

テントを張ってほっこりしていると、 休み時間中に知り合いの小屋の人にビールをおごってもらう。
山では酒を飲まないボクであるが、 くれるものは飲まなきゃいけないでしょう。
というわけで今日もビール・・・。

夕食は五目ごはんに焼きそば、カニ汁。
夕食後もビールを2本おごってもらう。
いろんな話を聞かせてもらって勉強になりました。
天気は崩れそうで崩れなかった。

ちなみにテント場でコンパスを踏んづけてしまい、
コンパスの定規部分を割ってしまった。
コンパス壊したの、
これで3つめ・・・。

8月21日(土)5日目
3時45分起床。
空一面の星空。
思っていた通りの快晴である。

東鎌尾根に出てから登るルートの方がよい、 と昨日教えてもらったのでそうする。
時間はどちらも同じくらいらしいが、 東鎌尾根に出たほうが見晴らしがよく、 日の出も見られる。

赤くなり始めた空を見ながら進みます。

槍ヶ岳山荘に5時ころつく。
山荘前には、日の出待ちの人が並んでいる。
ボクもその人のなかに混じって日の出を待つ。

槍の右側から日が上がります。
キレイな日の出。

では混雑していないようなので、 槍ヶ岳に登りましょう。
一瞬、トイレに言っておこうかと思ったが、
まあ大丈夫なので、登りはじめます。

登りと下りに道が分かれているところがあるのですが、
ボクは初めてなので、 どっちがどっちかわかりません。
まあ適当に丸印のあるところを登っていると、 下りの方に入り込んでいたようです・・・。

隣を人が登っていきます。
むー。
そっちでしたか。

高度感はありますが、
クサリやハシゴがしっかりつけられていますので、
手がかり足がかりがなくて心配、
みたいなことはありません。

快晴の中、 5時30分、ついに槍の山頂にたちました。
ついに、
ついに来たよ。

思ったより狭い山頂。
360度の大展望です。
南から富士山から八つから浅間山から白山、 そして北アルプスの山々。

槍ヶ岳は約束通り、
最高の天気を用意してくれた。

ケータイで写真をとっていると、 ケータイの音が鳴る。
これまでまったく入らなかったauですが、
槍ヶ岳山荘でも入らなかったのに、
槍ヶ岳の山頂だけ入ります。

狭い山頂なので長居はできません。
それでも少しはゆっくりしようと思っていたのですが、
なんかもよおしてきました・・・。
まだ危機的状況ではないのですが、
槍の山頂、公衆の面前で・・・ てなことになると大変なので、
12分しかいませんが、
5時42分、下山開始します。

山荘前で一瞬トイレに行こうかと思った、
そういう予感は大切にしなければいけない。
槍ヶ岳は最高の天気を用意してくれ、
そしてまた一つ、教えてくれた。

下りのコースの方がやや難しく、 ガケのような端っこを行くことになりますが、
それでもクサリがきちんと用意されていますので、 3点確保に注意しながら行けば大丈夫でしょう。

日ごろの岩場での経験が助けてくれます。

山荘前に下りると同時に危機的状況になります。
途中でそうならなくてよかったよ。

帰りは槍沢コースから下る。
殺生ヒュッテに戻ってテントを撤収する。

ザックを担いで改めて槍ヶ岳を眺める。
槍ヶ岳はそのいけすかないイケメンぶりを誇示するかのように
青空の中に浮かんでいた。

槍ヶ岳は不思議なことにボクに招待状を届け、
そしてやさしく迎えてくれた。
しかし、下りてしまったボクのことなど、
もうまったく気にもかけずに素知らぬ顔でそこに立っていた。
おそらく、もう違う人の心の郵便ポストに招待状を送っているのだろう。

さすがに悪女のようないけすかない槍ヶ岳である。

それでもボクには槍ヶ岳のやさしい心が読み取れた。
と同時に涙をこぼしてしまった。
あわててタオルで目頭をぬぐう。
槍ヶ岳に涙を見せてはいけない。

また槍ヶ岳にはくる。
再び心の郵便ポストに招待状が届いたときに。

小屋であいさつをし、 なっちゃんりんご500ミリを買って下山した。

上高地には12時45分。
土曜日だけあってすごい人の数だった。

上高地アルペンホテルで風呂に入る。
体重をはかったらなんと69.0kgに減っていた。
70kgを切るとモテモテになってしまうのだ。
うおーっ!
これでモテモテやー!
穂高と槍ヶ岳がくれたプレゼントやー!
いけすかないなんて言ってごめんな〜。

東京に帰ってから祝杯をあげた。
そして今日の朝、
いつもの時間に体重をはかったら
72.0kgでした・・・。


コワイレベル

上高地〜涸沢
コワイところはありません。1日で登るのは体力的には少し厳しいかも。2年目なら行けるでしょう。 ここまでなら。
涸沢〜北穂高岳
著しくコワイところはありません。が、ナメて登れるほどは甘くない。特に下りは要注意。 2年目後半でも行けそうな気がしますけど、4年目以降にしときたい。人は結構登ってますので、 落石しないように注意してください。
涸沢〜奥穂高岳
穂高岳山荘まででもそれなりです。もっとも難しいのは穂高岳山荘から奥穂高岳山荘方向に7〜8分。 5年目以降の山。満足感より恐怖感の方を強く感じるとしたら悲しい。十分な技量を身につけてから 登ってください。人がいっぱい登っているからといって、ここは穂高。穂高岳山荘から見て、 これは無理だと思ったら、やめときましょう。落ちてる人はいっぱいいます。 ここはホイホイ登る山ではないと思う。それだけに自分の技量の範囲内におさめて登れれば、 満足度は上がると思います。
横尾〜槍ヶ岳
槍沢コースなら槍ヶ岳山荘までコワイところはありません。で、山荘から槍ヶ岳山頂までなんですが、 4年目以降の山。技術よりも高度感からくる恐怖心というかビビる気持ちの方が大きい。 だれしも憧れの山であることは間違いないですが、しっかり岩場、クサリ場、ハシゴを経験して、 十分に行ける、と確信してから行ってください。混雑するので、途中で引き返すことができない ケースも考えられます。


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