北アルプス縦走8日間センチメンタルジャーニー(2007年8月18〜25日)

8月18日〜25日、北アルプスを縦走してきました。 まったくアルコールを飲まなかったので、 本当に毎日体調がよく、素晴らしい山歩きができました。

個人的な印象だが、 南アルプスは無骨で無口だが本当はいいヤツだ。 北アルプスはイケメンだがキザでしゃくにさわる、 でも女性には人気がある、悪女のような(でも男だ) いけすかない野郎である。

と、北アルプスにいかないで文句を言うのはいかんだろう。 雑誌でも夏山といえばまずは北アルプス。 とにかく人気なんである。 北アルプスのどこがそんなにいいんじゃい! と、文句をつけるために北アルプスを縦走の地に選んだのだ。 しかも1泊しか経験がないのにいきなり7泊か8泊のロングである。

18日(1日目)
とにかくなんでもかんでもザックに放り込んで、寝たのが1時。 で、起きたのは3時30分である。 21キロ超のザックを担ぎ、中野駅までの45分ウオーキング。最後は小走り。 で、なんとか中野駅始発4時27分発に間に合わせる。 タクシー使えばいいのだが、ここは意地である。

で、電車を乗り継ぎ、穂高駅についたのが9時40分ころ。 駅前のバス停に着くと、なんと今日に限って9時50分発のバスがなーい! 1時間も待てんぞ。と思ったら、同じようにお困りの2人組と単独の女性。 晴れて4人そろってここでタクシーである。 結局バスに乗るより少しだけ安く、中房温泉まで6210円でした。

10時35分に出発。第一ベンチには30分くらいで到着した。 上には水場がないから、ここで水を目一杯くむ。5.5Lもくんじゃった。 そしたら重いのなんのって。 もうここからは山登りを始めたころのようなしんどさ。 第2ベンチは中学生登山のみなさんに占領されてて目がくらんだ。 もうどこかわからん場所で座り込んで、第3ベンチは通過したものの、 富士見ベンチまではたどりつけず、どこかわからん場所で座り込み。 富士見ベンチは通過したものの、合戦小屋まではたどりつけず どこかわからん場所で座り込み。 もう本当にダメかと思ったですよ。

重かったし、睡眠不足がこたえました。 で、合戦小屋である。 スイカが名物である。 が、なにも食べる気がしなかったのだ。 で、CCレモンを買って飲んだ。そしたらちょっと回復した。 わざわざ買わずに背負ってる水飲めよ、と気づいたのは上に着いてからだ。

燕山荘までの間にもう1回休憩し、3時30分ころ、 ヘロヘロ、バテバテで到着した。 燕山荘ではなっちゃんりんごを買って飲んだ。 冷たくておいしかった。 が、そんなに水を節約してどうするんだ。 1L200円で売ってます。社会人なら買いましょう。 夕食はレトルトのインドカリーと中華スープ。

燕は夕暮れ。
夕日を見たらビックリ。 槍がきれいだったし、大天井方向もきれいだった。 キレイ過ぎて涙が出た。

燕は夜。
山荘から人が入れ替わり立ち代わり出てきては 「うわー天の川!」 と叫んでいくのだ。なんべんもいわなくてもわかりましたよ。 しゃあないからテントから顔を出して空を見上げた。 「うわー天の川が!」

ものすごい天の川がボクを迎えてくれたのだ! これが北アルプスか! すごいところにきていることを実感した。

19日(2日目)
この日も快晴だ。
適当に燕にピストンしたら、うまいぐあいに日の出に間に合った。 なかなかなもんでしたよ。 北燕にも足をのばそうかと思ったが、なんにももってこなかったので、やめといたっ た。 朝食はフリーズドライのきのこのリゾット。 なんにも味がしねえー!

8時出発で十分かと思いましたが、テント場に日があたって暑くてしょうがないの で、 7時20分に出発する。 蛙岩で遊ぼうと思って上に登ってみたが、こわそうなので途中であきらめた。 ここで学生団体と話し込み。 これからのコースを話すと、 「そんなに槍が嫌いか!」 「どんだけひねくれてんねん!」 と、賞賛の言葉をいただく。 得意になっていると自分のストックふんづけて曲げてしまう。 今回の破損、第1号となってしまった・・・

しかし、ここは槍・穂高を見ながら歩ける素晴らしいところ。 なぜにこんなに素晴らしいのか。 あ、そっか。だから表銀座って言うのか! 今ごろ気づいたよ。

大天井の登りは厳しい登り。 とにかく止まらないように歩を進める。 コースタイムより20分遅れで大天荘に。てことは10時10分。 ザックをおいて大天井の頂上を目指す。 思ったより登って頂上に。 ボクの初めての2900m超えである。 だれもいない1人占めの頂上。 槍に向かって大きく手を上げアピールする。 見えるはずないのだが。 ここは本当に素晴らしい頂上だ。 団体さんがいないときに登りたい気分的には定員2人までの頂上(もっと立てるけ ど)。

大天荘に戻って恒例となりつつある山小屋ジュース。 コーラ500mlを飲む。 最初は炭酸がうれしいが、途中からしんどい・・・ ここで昼食のラーメンもつくる。 韓国辛ラーメン。辛かったよ。

もう動きたくなかったが、常念小屋までまだ3時間ある。 というわけで11時30分に出発。 東天井まで1時間30分のコースタイムだが、40分で着いた。 ボクの足が速くなったわけではなく、 ここは厳しい北アルプスタイムの中で甘すぎる設定、 というか、たぶん間違いと思われる。 そこから常念小屋まで1時間30分のコースタイムはほぼその通りで 1時35分に常念小屋に到着。

小屋ではなっちゃんオレンジ500ml。あっという間になくなったよ。 あんまし冷えてなかった。 テント張っていると小雨がぱらつく。遠くではゴロゴロ鳴っているようだ。 テントの中でザックをまさぐっていると、フルーツゼリーが出てきた。 こんなもん重いので速攻食べてしまう。 おいしかったなあ。

となりの学生団体が無線で報告している。 いわく「今日は常念ご来光ピス(トン)であとはまったりです」。 いいなあ、そういうの。ご来光ピストンだと相当まったりだぞ。 どうやら下って40分の水場へサンダルで出掛けたようだ。 水を買うのがもったいないらしい。

テント場でまったり、が、妙に心に残った。

夕食は銀座カリーと春雨とわかめのスープ。 2日目にしてガス缶が切れる。 こんな使いかけの持ってくるんじゃなかったよ・・・

ちなみにテントの受付をするとき、明日の行動予定も書かされる。 昨日は「常念」という漢字が書けなかった。 今日は「蝶」という漢字が書けなかった・・・

20日(3日目)
朝起きて、左まぶたが腫れ上がっていることに気がつく。 燕で虫に刺されたようだ。 お岩さんのようになっている。

今日も快晴だ。 5時55分に出発する。コースタイム1時間だが1時間10分かけて登頂する。 このころ、北アルプスのコースタイムが厳しいことに気づく。 北アルプスタイムと勝手に名づける。

常念からはすべての山が見えるのではないか、と思うほどの展望。 大キレットの間からは白山も顔をのぞかせている。 頂上の祠には「モテモテになりますように」 などといういつものお願いではなく、 昨日の大天井と同じく、ただただ今山行の無事をお願いする。

で、蝶ヶ岳方面である。 そちら側のコースを覗き込んだときの印象。 「ここは大キレットか?」

激しく切れ落ちてます。 ただ、見た目ほどはコワクありません。 とはいえ、下って下って、一番下までくだるまで1時間25分。 地図には書かれていませんが、思ったよりは険しいです。 著しく危険なところはありませんが、集中力をつかわされます。 稜線散歩などというもんではありません。 ここは本当に疲れました。 初心者向きではないと感じました。 初心者はこんなとこまでこないけど。

下りきってしまえば、あとはコワイところはありません。 遠くに見える蝶槍を目指して登ります。 下りはしんどいが、登りは登りでやっぱししんどい。 しんどい思いをして登った蝶槍では思わずバンザイ。 槍が見える角度もだいぶ変わってきました。

蝶ヶ岳ヒュッテまでは以外に歩いて11時50分。 蝶ヶ岳ヒュッテではQooのオレンジ500mlを買う。 これが冷たくておいしかった。 今山行のベストジュース! 蝶ヶ岳ヒュッテさいこーである。

ジュースを飲んだ後、ラーメンをつくって食べる。 ラーメンは汁を飲まないといけないので、 長期山行では意外につらいということがわかってきた。

蝶ヶ岳ヒュッテを出たのは12時30分。 あとは下るだけだから、と思ったが、長塀尾根は長すぎた・・・。 下っても下っても着かん。 もう着くかもう着くか、と思ってもまだまだ続く。 あと5分だな、と思っていると、徳沢まで1.3キロの表示。 1.3キロっていったら20分いや30分かかるぞ。 もう本当にがっかりでした。

徳沢に下りついたのが3時36分。 またしても地図の北アルプスタイムにだまされた。 徳沢ではジュースを買いたかったが、売り場を人がジャマしていて買えなかった。 もういいや、と思って上高地に向かって歩き出すが遠い・・・。 途中、水が残り500mlになってしまう。 本来ならまずいところだが、ここは下界だからといいわけする。

明神館ではアクエリアス500mlを飲んだ。 200円だったような気がする。安っ! で、上高地まで歩く途中、5時をまわってしまう。 11時間以上行動ですよ。 もう本当にこのときは疲れきった。 常念小屋で学生グループが話していたマッタリが頭でリフレインする。

まったりしてえー!
停滞してえー!
明日、雨降ってくれー!

山登りとして最悪である。

途中、道に小さなへびがでた。 ビックリして急に止まると左足の先に痛みを感じた。 石でも入ったか、と思って、座って靴下を脱ぐと、 左足のいわゆる薬指の先にマメができていた。

一番恐れていた事態である。 変なマメができてしまうと、いくらからだが大丈夫でも歩けなくなってしまう。 これは明日の停滞も視野である・・・。 てへっ。

小梨平には5時20分くらいに着いた。 聞くと5時〜7時まで風呂があるという。 急いでテントを張って風呂に入る。 気持ちよかったですよ。ゴシゴシ洗っちゃった。

水が使えるので、靴下と長袖のシャツを洗った。 が、乾かなかった・・・

夜はフリーズドライのドライカレーと重いレトルトのビーフシチュー。 この日の夕食はうまかった。

この日、軍手の右人差し指に穴があいた。

21日(4日目)
曇りだが、残念ながら歩けない天気ではない・・・

計画では、今日と明日は試練の日である。 今日は普通に日帰り登山の焼岳にテント担いで、4日目に登るのだ。

5時57分に歩き始めると、それでも意外に足は出るもの。 焼岳登山口からはあちこちに踏み跡があるが、赤テを信用すればOK。 ガイドブックによく載っている長いはしごではストックをザックにくくりつける。 コワイとはいえ、はしごやから、と思ったが、 途中からザックが重くて後ろに引っ張れる感じで ちょっとだけ、ちょっとだけですよ、ビビッた。

焼岳小屋には8時40分すぎに到着。 西穂山荘から来た方と少し話し込む。 ガスガスで頂上に行ってもしょうがないが、 ここまできて頂上に登らないのもなんだかである。 登り1時間10分か。 ちょっと行ってくるか。

歩き始めるとこれがまた意外に遠い。 ガスって先が見えないので、もう着くかもう着くかと思うが、これが全然着かない。 またしても北アルプスタイムにだまされる。 テント担いでいるとはいえ、1時間10分はきついよ。

最後はガスが噴射しているところを右に見ながら左に進むのかと思うと、 ペンキでガスが噴射している真下に○が書いてある。 うそー! あんなとこ通るの?

あんなとこ通るのが正解なんである。 で、1時間15分かかって10時4分ころ頂上に。 結局テント担いだまま登っちゃったよ。 どこかにデポしろよ。 疲れちゃったよ。

わかってはいたことだが、頂上はガスガスである。

が!
我はモーゼなのか?

どんどんガスが晴れてくるではないか!

穂高が目の前に!
上高地が右下に。
新穂高が左下に。
そして明日登る(予定の)笠ヶ岳が!

もう快晴といっていい状況なんである。
そして最後に槍が!

焼岳からみる穂高は前穂と奥穂の吊り尾根がかっこよく、 槍もちょっと見ない角度から見られる。 後ろには乗鞍が。

あまりの絶景に今山行2度目の涙が出た。 明日のことを考えると早く下りたほうがいいのだが、 去ることができなかった。 1時間以上山頂でなにもせずボーッとしていた。 本当に気持ちがいい瞬間でした。

焼岳からの景色は本当にオススメです。

下山は新穂高(中尾温泉)方向に。 下山時に足の裏に違和感を感じたので 分岐のところで靴下を脱いで、足の裏をチェックする。 かなりよくない。 ばんそうこうとテーピングで処置する。 思ったよりこれが効果があったようだ。

こちらのコースは人が少ないかと思いましたが、 登山道はよく踏まれていて迷うところはありません。 初心者ならこっちから登った方がコワクないな。 アプローチが問題だけど。

途中、ヒカリゴケがみられるところがあります。 奥の方で本当に光っていました。

今日は新穂高を越えて、わさび平まで行きたいのである。 中尾温泉には2時35分ころ着いた。 あとは新穂高まで歩いて・・・ と言いたいところだが、バス停があって、本数が少ないのに3時6分にバスがあっ て、 気が着いたら新穂高に3時16分に着いていた・・・。 バスに乗ったのは秘密である。

新穂高に着いたらまずはジュースである。 なっちゃんオレンジ350ml120円。激安っ!

わさび平までも長かった。 わさび平に着いたのが4時40分ころ。 またしても11時間近くの行動である。バス乗ったけど。 わさび平に着いたら、思わずりんごを買ってしまう。 あっというまに1個食べちゃう。

夕食はフリーズドライのサーモンピラフとサッポロ一番ソース焼きそば。 焼きそばはうまかった。ソース味が食欲をそそります。 汁もないし、長期ではラーメンより焼きそばの方がいいな。 焦げ付きやすいのが難点だけど。

この日、地図を入れている透明の袋が破れた。 数年前に踏んづけて壊したことのある 相性の悪いコンパス(2個目)も落としたときにコンパス部分だけが丸くぬけた。 またコンパス壊しちゃったよ。 とりあえず方角を指してくれるのは救いだが。

22日(5日目)
曇りである。
ラジオが入らないので天気予報がわからないのだ。 が、まず大丈夫そうである。

今日は今回のなかでもっとも登りたかった笠ヶ岳である。 5日目にあのしんどい笠新道を登れるのか。 計画段階で最難関と位置付けた1日である。

6時15分にスタート。 笠新道入口は6時25分。 今日はしんどいのだから、と、ペースを守って、 バテないようにバテないように、と自分に言い聞かせて登る。

地図に目印が書いていないので たまには役だつ(と思われる)情報を書いておこう。 登り始めて最初の標識は1450mと書かれたもの。 たぶん15分から20分くらいだったと思う。 このあと休憩し、次の標識は1700m7時33分。 次は1800m標識7時49分。 次は1920m標識(ここには杓子平までの中間地点と書かれている)8時4分。 このあと休憩し、2100m標識8時38分。 このあと休憩。このあと杓子平まで標識はない。 杓子平10時15分くらい。

まとめると
6時25分笠新道入口
6時40〜45分ころ1450m標識
7時33分1700m標識
7時49分1800m標識
8時4分1920m標識(杓子平までの中間地点)
8時38分2100m標識
10時15分杓子平

こうしてみると、杓子平までの中間地点は中間地点まで行ってないことがわかる・・ ・

ちなみにこのタイムはガスっていて、比較的涼しかったことが影響しています。 晴れて暑いと、もっと時間がかかると思います。

あとで先行者に教えてもらったことですが、 この登りで「みなみらんぼう」さんパーティーとすれ違ったようです。 もしかしたしたら話をしたかもしれないのだが、 まったく気がつかなかった。 登るのに一生懸命で・・・

抜戸岳への分岐までも、厳しい登り。 ペースを守ってペースを守って、と言い聞かせて登る。 ここで先行者を何人か交わす。

あとで気がついたことだが、 ザックも体も軽くなってきたからか、筋肉がついてきたからか、 この日から登りパワーが爆発である。 登りのペースが身に付いたんでしょうか、 いくらでも登れる感じなんです。

抜戸岳への最初の分岐11時15分。 ここで男性の単独の方に追いつき話し込む。 男性の方が先に出発したが、 上から「稜線に出たら風がきついのでカッパきてくださーい!」 と声をかけられる。

ありがたくカッパをきて出発する。 途中、ザックを整理しているこの単独の方を追い越す。 雨も降ってきた。 カッパの下もはく。 笠ヶ岳までコースタイム1時間10分だが、1時間10分じゃ着かないよ。 またしても北アルプスタイムである。 山頂までだったら1時間30分か40分くらいかかるよ。

展望がきかないので、どこに山頂があるかわからない。 テント場についてからも、山荘までまだ少しある。 天気がよくないのでテントにするか小屋泊まりにするか迷いながらの登り。 山荘にザックをデポして、天気がもっと悪くなるかもしれないので、 先に山頂を目指す。 思ったより登って、登り13分くらい。12時54分でした。 山頂の祠にやっぱり今山行の無事を祈る。 ちなみにここは本当の山頂ではない、 と気がついたのは翌朝のことである・・・

山頂(本物は15m先)から戻って山小屋に入る。 まだテントにするか小屋泊まりにするか迷っているので まずはジュース小岩井純粋オレンジ30%を買って考える。 あっという間に飲み干してしまう。

このくらいの天気なら張れなくはないが、 ラジオで雷ってかすかに言ってたような気がする。 テント場から山荘が遠く、しかも岩場で、 悪化してから山荘に逃げ込むのは相当難しい。 そろそろいいもん食わんと栄養状態も心配だ。 登山計画書に天候悪化時には小屋泊まりって書いたじゃないか。

というわけで、言い訳が完了し、 混雑しないことを確認してから おねえさんに「テント担いできたけど小屋泊まり、1泊2食付き!」 と大きな声で宣言する。

最後に抜いた男性の単独の方とお隣。 ひよって小屋泊まりにしちゃいましたよ〜、と言い訳する。 とはいえ、いやあ小屋泊まりって快適。

こう書いてはいけないのだが、 11時間行動を続けたあとだけに 登りだけで終わった今日は・・・
書いちゃあいけないかなあ・・・
でも感じたことだから書いちゃえ、
今日は休息日でした。
きゃー、書いちゃった。
だって下りのほうがイヤなんだもん。 笠新道きついですからね。 誤解しないでくださいね。

夕食はこのときとばかり、ごはんおかわりしたった。

夜はかなりの雨と風が吹いていた。 テントにしなくてよかった。

23日(6日目)
朝起きると、まだ風は強く曇ってはいたが、笠が見えるではないか! 玄関を出ると、槍も穂高も見えている。 うひょー! ツキツキのノリノリである。

こりゃ笠もう一度登っとかないと。 とはいえ、そのまえに朝食である。 朝食もおかわりしたろ、と思っていたが、さすがに入らん・・・。 でもきっちり自分の分は平らげて、笠へゴー! 隣の単独の方と笠の頂上へ。 このとき昨日の祠のところが頂上でないことに気がついた。 あーよかった。今日頂上へ来て。 頂上行かずに帰るとこだったよ。

で、山荘に戻って6時に出発。 双六か三俣を目指す。 弓折岳の分岐までは単独の方と同行し、写真などを撮ってもらう。 いや、カメラ持ってないんである。

途中、大ノマ岳あたりを歩いていると、 前方の登山道に動くものが・・・

ら、ら、雷鳥だー!
逃げろー!

間違えた、逃げるのは向こうだ。 というほど逃げなかった。 子どもはいなかったが、つがいのようである。 念願だった雷鳥の姿も見ることができて大満足である。 雷鳥見ちゃったもんねー。

弓折岳の分岐で単独の方と別れて10時10分に出発。 双六小屋には11時2分に到着。 ここで残っていたラーメンを食べる。 11時35分出発。 双六岳には登りパワー爆発で12時25分に到着。 山頂につくころにはガスガスになってしまう。 5分がまんしたが、晴れそうにないので三俣蓮華岳に向かう。 が、5分も下ると双六岳は晴れ渡るのである・・・

三俣蓮華岳は意外に遠く1時30分ころ。 天気がよかったこともあるが、ここからの景色も素晴らしかった。 鷲羽岳がでかい。 黒部五郎のカールも素晴らしい。 薬師岳の大きさは圧倒的だ。 そして歩いてきた燕、大天井方面の稜線がきれいに見えている。 大天井はカッコイイ。

20分ほど休憩し、35分かかって三俣に。 テント受付とともにバヤリースオレンジを。 オレンジジュース好きだな。

で、明日どこに行くか逡巡。 計画ではもっとも行きたい赤牛岳だが、 行って帰って雲の平までコースタイム13時間近く。 だれじゃー!こんな計画立てたヤツは! しかも北アルプスタイムである。

2番目に行きたいのは表銀座方向から大きく見える青いりんごの野口五郎岳だ。 が、こちらも10時間くらい。 うーん。

というわけで鷲羽に登って水晶小屋まで行って、そこの時間で決めることにした。 ザックをひっくり返したら、重いレトルトもんが2つも出てきた・・・。 というわけで、夕食はカレー曜日とポタージュスープに。 カレー曜日がおいしかった。

24日(7日目)
快晴だが風が強い。

5時47分出発。 登りパワー爆発でしんどい鷲羽岳の1時間30分の登りを1時間弱で登る。 6時44分山頂に。風が強い。寒い。

先に登っていた学生団体に写真を頼まれる。 このカメラを持つと学生たちは服をぬぎ上半身裸になる。 寒いよ。 でも、そういうノリが好きなんである。 もしほかに人がいたら、学生たちだけウケルのはくやしいので、 意味なく写真をとるボクも上半身裸になってやるところだ。 でも、ほかに人がいなかったので寒い思いをしなくて済んだ。 あーよかった。

とにかく風が強くて寒いし、もしかしたら先が長いかもしれないので、 10分ほどで山頂をあとにする。 ワリモ岳近辺で、1箇所だけストックを持っているとコワイところがあった。 ザックにくくりつけて乗り越える。 北アルプスはあなどれない。

水晶小屋についたのは8時10分だった。 時間的に野口五郎と思っていたが、 水晶岳の向こうに赤牛岳がカッコよくそびえているんである。 しかも、見た目、そんなに遠くない。 天気ももちそうだし、行けるのではないか? そう判断したのだ。

8時20分出発。 途中から結構岩場である。 そんなに特筆するほど難しくはないが、 テントを担いだこっちはちょっとコワイのだ。 もう7日目。もしバランスを崩したりしたときに、 リカバリーするだけの力が足に残っているか心配である。 慎重に慎重に進んだ。 ここで精神力を使ってしまったのだ。

水晶岳には8時58分に到着。 快晴である。風も弱くなった。 素晴らしい景色が広がっている。 赤牛岳もカッコイイ。 雲の平も素晴らしい高原だ。 立山・剣もそびえたっている。

しかし、ボクの心は晴れなかった。 岩場で精神力を使い果たしてしまったのだ。

赤牛岳方向も最初は岩岩である。 目は自分でも行けると判断している。 が、心がもう拒否しているのだ。

この重荷を背負って、もう危険なことはしたくない。 残念だが、そんな状態で赤牛岳に行けるはずがない。 赤牛岳はあきらめることにした。

とすると、水晶岳でゆっくりしていてもいいのだが、 大展望のなかにいても心が休まらないのを感じた。 展望を楽しむだけの余裕がボクにはなかった。 そう、まだこのザックを担いで戻らなければならないのだ。 ここにいても心が休まらないと感じたボクは10分くらいたっただろうか。 水晶小屋に戻ることにした。

重いザックを担いで慎重に慎重に行く。 もう一度書いておくが、そんなに特筆するほど、難しいコースではない。 部分的にはワリモ岳の方が難しいと思う。 が、ここで落ちたら少なくとも大けがは必至である。 よく調べていなかったので、ここで岩場があるとは思っていなかった、 という心の準備の問題もある。

とにかく慎重に慎重に戻った。 念願の赤牛岳には行けなかったが、 ボクにはこの日程で赤牛岳に行けるほどの実力も経験もなかったのだ。 残念だがしかたがないではないか。 敗れて悔いなしである。

最後の岩場の部分を乗り越えた。 ようやくホッとする瞬間。

そこには行きには気がつかなかった花が一杯咲いていた。

その花たちがボクにこう話しかけてきたのだ。
「よかったね。それでよかったよ」

ボクはそのとき涙が出て、もう止まらなかった。

そう。ボクはまだ実力も経験も不足しているのだ。 よかったではないか。

赤牛岳に行けなかったことは全然悔しくなかったはずだった。 でもお花さんたちになぐさめられて、涙が止まらなかった。 水晶岳に向かう人たちとすれ違うとき、 帽子を深めにかぶって、涙を隠すのに精一杯だった。

水晶小屋についた。
それまでとはまったく違った景色が広がっていた。
ボクはこの山行が終わったことを実感した。
もう悔いはない。
お花さんたちに従おう。
涙は依然として止まらなかった。

野口五郎や黒部五郎にも行くことはできたが、 行ってはいけない気がした。 帰るだけなら双六まで戻ればよかったが、 足は雲の平に向かった。

ピークを稼ぐだけが山登りではない。今日も鷲羽・ワリモ・水晶の3つ稼いだけど。 体力的にもうまったりを欲しなくなっていたが、 雲の平でまったりするのだ。 というのが建前であり、本当のところはまだ去りたくないボクの未練である。

雲の平はなんにもない素晴らしいところ。 草がゆれ、花が咲き、水音だけが聞こえる。 祖母岳は木道整備のため入れなくなっています。

テント場で岩の上に寝転がって、ただただ過ごします。
もう十分です。
明日帰ることにしよう。

夕食は最後のレトルトのクリームシチューと フリーズドライの梅わかめごはんにフリーズドライのカツどんをぶっかけたもの。 本当にかつが入っていたのか?

25日(8日目)
朝、5時に出発する。
新穂高14時30分発のバスに間に合わせないといけないのだ。 今日もいい天気である。

黒部源流の碑を通って(もっと上から流れているけど)、 三俣に7時くらい。10分弱休んで、双六に8時45分。 槍・穂高が今日もお出迎えというかお見送りである。 鏡平に10時。 小屋でなっちゃんりんごを頼んだら、 「もうなくなっちゃたよ。代わりにこれならあるよ」 と差し出されたのはピーチネクターだった・・・。 どこが代わりやねん!果物変わっとるっちゅうん! でも気の弱いボクは素直にピーチネクターを買った。 思ったよりうまかった。

秩父沢手前に11時10分。 わさび平を12時7分に通過。 もうバスに間に合うことはわかっていたが、 風呂に入りたい。もう少し時間があれば下界のごはんも食べたい。 と思って懸命に歩いた。

13時ころ新穂高に着いた。 フロ・メシ・バス3つともゲットである。 念のためバス停の時刻表みると、 14時30分ではなく13時40分だった・・・。 3と4の順番間違えてたよ・・・

急いでマジよかった・・・。 バス停前のフロに入る。 だれも入ってなかったが、開いてるから勝手に入っていいんだろう。 へへっ。 フロ1人占めだもんね。 と、思っていると、ボクが入ったらあとからあとから人が入ってきた・・・

お風呂のあと新穂高の自販機で買ったのはCCレモンだった。

北アルプスは最後の夜に、 月が明るかったためはっきりすっきりとはいかなかったが もう1回天の川を見せてくれた。
やっぱり北アルプス、キザな野郎なのだ。

赤牛岳にはいつの日か行くことがあったら あのお花さんたちにあいさつしにいかなければなるまい。 ということはもう1回行かないといけないやん。
やっぱり北アルプス、悪女のような、でも野郎なのだ。

ほぼ天候に恵まれ、 あらゆる方向からこれでもかってくらいに、 カッコイイ槍を見せびらかしてくれた。
やっぱり北アルプス、いけすかない野郎なのだ!


コワイレベル

中房温泉〜燕岳
コワイところはありません。とにかく体力勝負。早い時間にスタートしたい。燕山荘は生ビールあり。
燕岳〜常念小屋
若干岩場がありますが、コワイところはないでしょう。稜線なので雷には気をつけたい。
常念小屋〜蝶ヶ岳
常念岳への登り下りともテクニカル。初心者は常念小屋からの往復にしておきたい。ちょっとコワイかもです。 1年目に登る山ではないです。常念岳から蝶ヶ岳方面は3年目以降の感じ。結構コワイです。ただ、 見た目ほどコワクはありません。蝶ヶ岳方向からくる場合、常念岳が登りになる分、コワクはなくなり ますが、隠れるところが少ないので、時間的に雷がコワイ。天気に要注意です。蝶ヶ岳付近は問題 ありません。
蝶ヶ岳〜上高地
コワイところはありません。けど、しんどかったよ。
上高地〜焼岳
はしごのあたりがコワイです。初心者向けではない。特に下りはコワイと思う。はしごの上り下りを ある程度経験してから行きたい。2年目後半以降という感じ。山頂付近もコワイと感じる人は結構 いると思う。ガイドブックに書かれているよりは難しいというかコワイと思います。
焼岳〜中尾温泉
コワイところはありません。山頂付近がポイント。
新穂高〜笠新道〜笠ヶ岳
体力勝負ですが、意外とテクニカル。岩場もあるので、2年目後半以降。やっぱりガイドブックに 書かれているよりコワイと思います。ある程度岩場を経験してからの山。
笠ヶ岳〜双六小屋
特にコワイところはなし。もしかすると雷鳥。
双六小屋〜双六岳〜三俣
双六岳から双六小屋に下山する場合、ガスっているときは道迷いに要注意。岩というか石の道が わかりにくい。目印少ない。それ以外にコワイところはなし。
三俣〜鷲羽岳〜ワリモ岳〜ワリモ北分岐
ワリモ岳付近がコワイところあり。3年目以降の感じ。コワイのがイヤな人は三俣から鷲羽岳往復 にしとく方がよいでしょう。
ワリモ北分岐〜水晶小屋〜水晶岳
水晶岳付近は岩場。はしごなど。3年目以降の感じ。重い荷物は背負っていかない方が無難。ストックは ジャマになるかも。高度感あり。本文通りでめちゃめちゃ難しいことはないが、そこそこコワイです。
ワリモ北分岐〜祖父岳〜雲の平
祖父岳〜雲の平方向の岩というか石のところがルート判然とせず。適当に登って適当に下れという ことか。先をよく見て進んでください。たぶん○印などなし。下りの場合は特に気をつけて。 コワサよりもルートファインディングが問題。
雲の平〜黒部源流〜三俣
黒部源流の渡渉あり。通常時はロープもあって問題ないが、増水時にはやめといた方が無難。 水量は結構多いです。地図に「迷」マークあるが、雲の平方向からきた場合、晴れていれば下に道が 見えるので迷うことはないと思う。反対方向からくる場合か、ガスっているときは要注意。
双六小屋〜小池新道〜新穂高
特に難しいところはないが、石が多いので慎重に。2年目なら十分と思う。ただ、これを登るのは 体力的に相当しんどいと思う。


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