患者の生活・就労をつむぐ会

社会保障と税の一体改革への質問 


2012年6月26日に衆議院本会議で「社会保障と税の一体改革」に関する法案が採決され
ました。当会ではせめてフランスやドイツ並みの中福祉、中負担の社会保障をめざすために、
社会保障目的税を含めた提言をしてきました(詳しくはこちらをクリックください)

しかし、社会保障目的税を含め、「増税の前にやるべきことがあります」。

知らないうちのすり替え、なし崩し、棚上げを繰り返している余裕は、今の日本にはありません。

当会では時の政権に今回の社会保障改革の質問を行い2012年7月13日現在の回答をい
ただきました。
「社会保障と税の一体改革」等の予算についての質問と民主党からの回答

しかし、以下のように疑問が深まっています。参議院の国会審議で不透明なまま負担だけが
先行する不正義をこれ以上許してはなりません。老いも、若きも10万円を超える負担をする
のですから、是非、国民にも解りやすく、開かれた国会議論を求めます。


疑問点1 マニフェストにない予算は既にとられ、マニフェストにある予算が未だにとられていない不正義
マニフェストにない新規整備新幹線今年度予算90億円(今後3兆円)、八ッ場ダム継続今年
度予算56億円(他のダムも復活継続に6900億円、国土強靭化では今後200兆円?)はある
のに、マニフェストである「制度の谷間」のない障害者総合支援法、医師の意見書で補う予算
(10億程度)が何故未だに確保されないのでしょうか。お金がない、やれないのではなく、マニフェ
ストを実行する気がない、「国民との約束」を守る気がないと取られても仕方がなければ、国民は
選挙で何を信じて投票すればいいのでしょうか。これで社会保障を目的とする消費税でも手立て
されず、10万円をこえる負担だけが、「制度の谷間」にある人にも求められれば政治不信は極み
に達します。10万円を超える高額の負担を求める際の、中身の詳細、緊張感をもったきめ細か
い生活への配慮が足りないのでは。現行の社会保障の対象となっている人だけの機能維持、
強化では消費税増税で、福祉内格差がより広がってしまいます。

疑問点2 箱モノ行政新規18兆円分(その後国土強靭化で200兆円?)に消費税分が回ってしまう?
    財源無きバラマキと削られた子供手当。一方で新規箱モノ財源18兆円、100兆円はどこから出るの?
    財政状況が悪化するから消費税増税だったのでは?200兆円回せば子供手当は満額でる?
    余りにも低水準な子供や若年者の社会保障、世代間格差を是正するよりも箱モノ行政優先?
箱モノ行政に回らない理由を法律案の2条として挙げています。しかし、一方で社会保障の負担
を上げて、一方で箱物予算もそれ以上に上げれば、下記の図ように、社会保障維持の消費税
分が、財務省を通して箱モノ行政(附則18条のいうところの事業等を含め)に回されることになる
のではないか。これから予定される新規整備新幹線(3兆円?)、八ッ場ダム続行、国土強靭化
計画(3年で15兆円?その後200兆円?)を考えると、「社会保障と税の一体改革」ではなく、
社会保障を理由とした箱モノすり替え増税になるのではないか。コンクリート公共事業、箱モノは
つくった時だけの経済効果だけでなく、その後、次世代が何年も維持、改修等の予算を負担し続
けることになります。
社会保障強化はわずか1%の2割、それ以外は現状維持と借金返済に8割が使われる?
消費税の社会保障の借金返済には7兆円が使われます。附則の18条も含めて仕切り直しが必
要ではないでしょうか。財源無きバラマキを指摘していたのですから、是非、新規箱モノの財源が
どこからくるのか確認しましょう。埋蔵金が仮にあるなら、まずはそこから借金を返済し、消費税は
機能強化に回すべきではないでしょうか。
【図説】消費税増税分が箱モノ行政に回る?


疑問点3 消費税が年金本体の予算に回れば、AIJ等で空けた厚生年金基金の穴にも自動的に回るのでは?
AIJ等で空けた厚生年金基金の穴に、厚生年金本体のお金で補てんすることを厚労省の有識
者会議がまとめています。今回消費税の1%分約2.5兆円が年金の国庫負担金にあてられ、厚
生年金本体にも回されます。これでは自動的にAIJ等で空けた年金基金の穴にも使われること
になるのではないでしょうか。厚生労働省に確認したところ、厚生年金基金の損失は1.1兆円、
国民年金基金の損失金は1.3兆円にもなります。ギャンブル投機の穴埋めに、消費税が回ってし
まうことがない担保はあるのでしょうか。


疑問点4 今年、来年以降に社会保障の全体像が分かるなら、負担だけ先に決めてはダメなのでは?
社会保障の全体像については、国民会議、社会保障・税一体改革大綱のスケジュールで、今年、
来年以降に法整備を含めて決まるとのこと。社会保障国民会議のメンバー、中身も不明で意思決
定がどのようにされるかも未だに解りません。これでは、負担だけ先に決まって、全体像は後回し、決め
る人も不明になってしまいます。今回、老いも、若きも10万円を超える負担になります。それだけの高
価な負担をするのですから、当然何に使われるか、今後の社会保障ビジョンを国民に明らかにする責
任が国会にあります。高額な商品を買う時に、商品の中身も解らないのにお金だけ先に出せでは詐欺
になりかねません。せめて向かうべき日本の社会保障のビジョンを示す、中身が解って、国民に了解を
得てから、負担も同時に採決する等、順番整理が必要です。今は、同時でもなく、負担だけ先に採決
しようとしています。この中身の議論がないこと、白紙委任する政治が、主権を霞ヶ関に渡してしまう根
源ではないでしょうか。今後の国会、民主主義の根幹にもかかわる議論の進め方の仕切り直しが必要
に思います。

 ※みんなで活発に議論をすすめ、随時更新、改正、追加等をしていきます。